黙とうで手を合わせる参列者 献花台に白キクをささげて犠牲者を悼む
東日本大震災と藤沼湖決壊の記憶と犠牲者を悼む「大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい2023」は11日、滝防災公園慰霊碑前で開かれ、関係者や遺族ら約70人が参列した。
犠牲者へ哀悼を込めて全員で1分間の黙とうをささげ、事故から12年過ぎた思いとともに手を合わせる参列者の姿も見られた。
今年からつどい実行委員会から主催を受け継いだ藤沼湖決壊による慰霊碑建立実行委員会の柏村國博委員長が「今日は大震災から12年が過ぎ13回忌の日です。振り返ればあっという間でしたが、ご遺族の皆様にはまだまだ癒されない日々を過ごされていると思います。私たちはこれからも災害の怖さ、応対の難しさ、自分の命を守る大変さを後世に伝えていかなければいきません。追悼式を行うことで後世に安全・安心とは何なのかを問いかけ続けることが大事だと思います」とあいさつした。
来賓の橋本克也市長、五十嵐伸市議会議長、玄葉光一郎代議士があいさつし、橋本市長は「亡くなられた皆様の御霊が安らかなることをお祈りします。私たちは震災において犠牲になられた方々の思いを受け継ぐとともに、あの日から新しい命も生まれています。命の大切さをしっかりと伝えていく思いを皆さんと共有していきたいと思います」と述べた。
慰霊碑前に設置された献花台に、出席者一人ひとりが白菊をささげ犠牲者の冥福を願い静かに手を合わせた。
最後に加藤和記大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい実行委員長がお礼の言葉を述べた。
藤沼湖は平成23年3月11日、東日本大震災の強烈で長周期の揺れにより本堤が決壊し、農繁期に向けてほぼ満水状態にあった貯水150万㌧が濁流となって下流域の滝、長沼、城影地区を襲った。行方不明者1人を含む8人が犠牲となり、131戸の住宅被害、広範囲に及ぶ農地被害をもたらした。
学識経験者を中心とした第三者委員会で決壊理由と復旧に向けた調査が入念に行われ、復旧工事を経て平成29年4月から農業用水供給を再開した。
湖底に自生していたヤマアジサイを発見、「奇跡のあじさい」と銘打って復興・復旧のシンボルとし、現在も全国各地に里親の輪が広がっている。