「一人ひとりの心に残り続ける」 湯本中が閉校式 76年の歴史に幕

天栄村子ども教育

  • 画像
    校旗を返納する渡部校長
  • 画像
    オリジナル曲「忘れない」を歌う生徒と職員

 天栄村の湯本中閉校式は13日、生徒2人とOB・OG、歴代学校関係者ら約100人が出席し、76年の歴史に幕を下ろした。
 同校は新学制の実施に伴い昭和22年5月、貯炭庫を仮校舎に開校。陸上やスキーでの全国大会出場、今年度はアントレプレナーシップ学習での文部科学大臣表彰受賞など、地域の支えを受けながら様々な分野で活躍してきた。
 同日の卒業式で巣立った最後の生徒2人を含め1574人を輩出した。
 閉校式は久保直紀教育長が閉校を告示し、渡部幹雄校長が添田勝幸村長に校旗を返納した。
 添田村長は「地域と学校がともに助け合いながら歩んできた尽力に感謝する。その伝統や思いをしっかり受け止め、行政と地域が一体となり自然豊かな湯本地区を笑顔で楽しく過ごせる、みんなが生き生きと暮らせる地域にしていきたい」と式辞を述べた。
 最後の卒業生の星葵さんは「閉校と聞いたとき『きっとウソだ』と信じられなかった。思い出詰まった学校がなくなるのはとても悲しく寂しいが、最後の卒業生として楽しい学校生活を送ろうと取り組んできた。湯本中だからできた学校生活に感謝している」、佐藤瑛汰さんは「アントレ学習やみんなの森の看板作成、修学旅行、歌の制作などたくさんの貴重な体験ができた。この素敵な学校が湯本のための施設として生まれ変わり、活躍してくれたらいいなと思う。閉校しても湯本中は私たち一人ひとりの心に残り続ける」と思いを語った。
 渡部校長は「開校当初から現在まで、地域の温かな支援があった。生徒の可能性を信じ、活動が充実したものとなるよう、ともに考え行動していただいた。卒業生2人には湯本中で学んだことを土台に、感謝の心を持って、これからの人生を粘り強く切り拓いていってほしい」と謝辞を述べた。
 引き続き閉校記念式典が行われ、歴代校長や歴代PTA会長など43人に記念事業実行委員会の小山志津夫委員長と渡部校長連名の感謝状が贈られた。
 また渡部校長が今年度の活動を振り返り、佐藤さんと星さんの2人に「ふるさと功労賞」を贈った。
 小山委員長は「本校は常に『卒啄同時』を探り、教育に取り組んできた。湯本中の歴史は地域の歴史そのものであり、その旗の下で一つになっていた我々の生きた証だった。これからも村の子どもたちの未来が一層健やかであるよう願っている」とあいさつした。
 今年2月に生徒2人とオリジナル曲を作った箭内道彦さんと音速ラインの藤田敬之さんのビデオメッセージが流され、同楽曲「忘れない」を生徒と教職員が歌った。
 最後に出席者全員で「湯本中学われらが母校」と校歌を歌い、これまでの思い出と感謝を体育館いっぱいに響かせていた。