巨大「ヤマタノオロチ」が登場した撮影シーン 「ヤマタノオロチ」を操作する特撮塾1期生 原作・総監督の村瀬さん
須賀川市出身で“特撮の神様”と今も呼ばれる故円谷英二監督とともに多くの特撮作品を手がけた村瀬継藏さん(特殊美術造型ツエニー会長)が原作・総監督の特撮映画「神の筆」の特撮パート撮影が22、23の両日、報道陣に公開された。撮影は25日までだが、安全確保のため現場の一般公開はしない。
撮影は市特撮アーカイブセンター収蔵のミニチュアなども使い、ツエニースタッフらが主になって制作にあたり、怪獣ヤマタノオロチが街を破壊しつくす様子は火薬点火などして迫力満点の状況を再現した。
今回の撮影で使ったヤマタノオロチは全長3㍍を超える巨大なもので、複数の首がうねる動作は、すかがわ特撮塾1期生たちがロープで動かし、塾生たちからは「本物の特撮映画撮影に参加できて感激です。本当に須賀川に生まれてきてよかった」などの声も聞かれた。
特撮映画「神の筆」は、日本の怪獣造型の基礎を作り上げた村瀬監督が70年代に香港ショウブラザーズで書いた幻のプロット・企画書を基にしたオリジナルファンタジー映画。
キャラクター原案は仮面ライダーなどの特撮に携わった高橋章さん、脚本は小説家でUMA研究家の中沢健さんが、怪獣ヤマタノオロチのデザインを西川伸司さんが担当するなど、昭和から令和までの著名特撮映画スタッフが集結した。
公式ホームページでは、「40年前に作られたオリジナルの物語性を大切に残しつつも、新しい時代に届くアナログ特撮映画として再構築しています」。出演俳優や主題歌などは公開まで非公表だが、関係者によると「特撮映画に関係する驚きのキャストに期待してほしい」としている。
村瀬監督は円谷監督のもとでゴジラやバランなどの造型や撮影に参加し、島倉二千六さんとともにいわゆる円谷組の一人としても活躍した。
円谷監督について「優しい人だったが、撮影に対してとても厳しい面もあった。僕が若い頃にいろいろなアイデアを考えると『そんな発想もあったのか』と驚いてくれて即採用になったりした」と懐かしく振り返り、「出身地で特撮映画の撮影ができるなんて夢のようでうれしい。特撮塾の子どもたちも撮影を手伝ってくれて、須賀川は素晴らしいまちですね」と話した。
村瀬監督は撮影前にアーカイブセンターを訪れ記念のサインを壁に残し、村瀬直人ツエニー代表取締役は、全ての撮影終了後に怪獣ヤマタノオロチ造型を「センターに寄贈したい」と語った。