人命救助と初期消火にひと役買った矢吹さん(左2)と橋本さん(左3)
須賀川市山寺町の橋本香理さん(41)と中島村滑津の矢吹隆夫さん(58)は3月22日午前8時半頃、大袋町地内で発生したアパートの火災で早期発見に伴う119番通報と人命救助、初期消火に貢献したとして須賀川地方広域消防組合から協力者表彰を受けた。
三和物産に事務員として勤める橋本さんは出社直後、管理するアパートの住民から「隣の部屋から煙が出ているので確認してほしい」と連絡を受け、現場に急行した。
2階窓から煙が出ているのを確認し、その部屋に85歳の高齢女性が居住していると記憶していた橋本さんはすぐに部屋まで駆けつけ、玄関先で大声を出して呼びかけたところ返答があり、無事を確認した。
また階下にも高齢夫婦が住んでいたため、1階に移動し避難を呼びかけた。
一方、同アパートに隣接するスカイオートで働く運転手の矢吹さんは、バスの洗車をしていたところ橋本さんの大声を耳にし、アパートの窓から立ち上る煙に気がついた。
矢吹さんが急いで2階玄関先に駆けつけると、119番通報している橋本さんと、裸足で両足を黒くした高齢女性を見つけた。
2人は高齢女性の両脇を抱え、屋外の安全な場所まで避難させた。
また矢吹さんは逃げ遅れを確かめるため室内に入ったところ床面に炎を確認したため、いったん職場に戻ってバケツに水を汲み、消火作業を行った。
2人の行動により尊い命が救われ、延焼拡大も阻止された。
なお救出された高齢女性は腕や足に中等症の火傷を負ったが、治療を受け快方に向かっている。
表彰式は小針則雄消防長が2人に表彰状を渡し、「危険を顧みない迅速・的確で勇気ある行動に深く感謝する。2人のような行動は地域防災力の向上にもつながる」とたたえた。
橋本さんは「すごい煙で怖かったが、何よりも女性が無事で良かった」、矢吹さんは「会社で防災に関する研修を受けており、それが役立った。助けることができて良かった」と笑顔で語った。