前立腺肥大症に県内初の治療法 公立岩瀬病院

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    治療で使う装置を説明する植村部長

 須賀川・岩瀬地方の中核病院である公立岩瀬病院は今月から前立腺肥大症を従来よりも体の負担を軽減できる県内初の「経尿道的水蒸気治療(WAVE)」装置を導入した。3日に同院として1例目の治療を行い、植村元秀泌尿器科部長は「従来の治療が困難だった患者の排尿障害改善へ新しい選択肢が広がりメリットにつながる」と説明した。
 前立腺肥大症は近年の高齢化とともに、排尿困難や残尿などに苦しむ患者が増えている。
 今回の経尿道的水蒸気治療は、患者の尿道から装置(ボストン・サイエンティフィック社製)を差し込み、前立腺内の肥大組織に103度の高温水蒸気を専用の針で体内から直接注入する。1カ所の注入は9秒程度で4~5カ所繰り返し、一度の治療に要する時間は10分程度。
 組織内を高温の水蒸気が対流することで均一に熱せられ、肥大組織が1~3カ月後に壊死(えし)して体内に吸収され、狭くなっていた尿道が広がり、尿が太く勢いよく出せるように改善される。
 全身麻酔などして患部を外科的に取り除く方法と比べて、常用薬などの影響を受けづらく、低侵襲かつ異物を体内に残さずに治療できることから、患者への負担が大きく軽減されるものと期待される。
 海外では5年以上の治験があり、国内では昨年9月から保険適応となった。