藤沼湖決壊の語り部として大臣表彰 深谷さんらが市長報告

文化防災須賀川市

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    大臣表彰受賞を報告した太田さん(左)と深谷さん(右)

 東日本大震災で決壊した藤沼湖被災の記憶を様々な形で語り継いできた深谷武雄さん、太田滋美さん、五十嵐夏菜さんは10日、長沼商工会で復興大臣感謝状を受賞した。橋本克也市長に市役所で受賞を報告した。
 深谷さんは藤沼湖底に自生するヤマアジサイを発見し、平成25年の「藤沼湖の湖底を歩く会」を企画。アジサイは「奇跡のあじさい」の名前で長沼復興のシンボルとして育てられ、今も全国各地に里親の輪が広がる。
 自然公園内で県内外の協力者とともに植栽事業を継続し、来園者に対し被害と復興に関する伝承活動を続ける。
 太田さんは「奇跡のあじさい」植樹祭で藤沼湖の歴史を描いた紙芝居を作製・披露した。本の読み聞かせ活動を通して地元学校や図書館などで伝承活動に尽力している。
 五十嵐さんは小学1年のときに藤沼湖決壊を体験し、恐ろしい記憶や経験から学んだ防災意識の重要性を地元の学校や防災教室で語り継いできた。県内の高校生が集まった「ふくしま創造サミット」で紹介したことをきっかけに、藤沼湖決壊の記憶を受け継ぐ語り部として後世に伝える役割を担う。
 報告は深谷さんと太田さんが訪れ、藤沼復旧復興に対する市の尽力に感謝を伝えた。深谷さんは「これからも震災と藤沼湖の記憶を後世に伝える活動を皆さんのご協力をいただき継続していきます」と謝辞を述べた。
 橋本市長は「藤沼湖の恐怖だけでなく、どうやって教訓として受け継いでいくかは大きな課題です。これからもそれぞれの立場でご協力ください」とあいさつした。
 藤沼湖は平成23年3月11日、東日本大震災の強烈で長周期の揺れにより本堤が決壊し、ほぼ満水状態にあった貯水150万㌧が濁流となって下流域を襲った。行方不明者1人を含む8人が犠牲となり、131戸の住宅被害、広範囲に及ぶ農地被害をもたらした。