遊水地の農地利用など要望 阿武隈川治水対策 整備後に制度の拡充

自然行政鏡石町

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    遊水地整備で要望書を渡す木賊町長たち

 国の主導する阿武隈川緊急治水対策プロジェクトで整備を進める遊水地に関し、木賊正男鏡石町長、蛭田泰昭矢吹町長、須釜泰一玉川村長は11日、矢吹町複合施設KOKOTTOで福島河川国道事務所の丸山和基所長に、整備後の遊水地を水田等農地としても活用できる制度の拡充など求める要望書を手渡し、要望に応える形で進められるよう検討していく旨の回答を得た。
 遊水地は3町村に3カ所計350㌶(第一遊水地・鏡石分130㌶)の整備を計画している。計画地には大規模な優良農地も含まれており、営農の継続を危惧する土地所有者の声も多い。
 一方で、例えば鏡石町では高齢化の進行により農家が所有する土地を耕すよりも、借地で耕作する農業形態が多くなってきている実態もある。
 そのため制度の拡充により水田等農地占用を可能とすることで、遊水地として国が買い上げた土地を農地として住民が借り、営農継続できるよう求めた。
 またこのほかプロジェクトの計画的な推進と、5カ年加速化対策の継続に必要な財源の確保を要望した。
 丸山所長は「土地所有者から営農継続を求める声、将来の心配の声が上がっていることは承知しており、国交省としても地域の生業確保の観点から重要と考えている。期待に応えられるよう上部機関、関係機関と検討を進めてきた。農地利用の選択肢が増えることは望ましく、本省にもしっかり伝えていきたい。必要な予算についても確保に努めていく」と述べた。
 同プロジェクトでは今後年内に土地利用の検討を進める組織を立ち上げ、その中で方策など検討していく考えである。
 同様の対応はこれまでに例がない。仮に農地利用が可能となった場合、少なくとも現状の農地を数㍍掘り下げる必要があるため、品質や収量への影響は危惧されるが、各所との連携により課題クリアに取り組むことも視野に入れる。

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