長沼・岩瀬の代表的文化財 歴史民俗資料館 12月15日まで秋季展


  • 画像

 須賀川市歴史民俗資料館の秋季テーマ展「長沼・岩瀬の文化財」は12月15日まで、同地区の代表的な文化財である長沼焼、長沼染型紙、三匹獅子舞の関連資料を展示している。
 江戸時代の長沼には会津街道を挟んで南北に2軒の染屋があった。江戸時代末期から昭和初期にかけては、この染物業から移行するように窯業が盛んになった。
 岩瀬地区では梅田と里守屋に三匹獅子舞が伝わっており、里守屋では現在も7月の五穀豊穣など願う行事で使用されている。梅田は少子化に伴う踊り手不足で休止しているが、伝統を残すため今も獅子の修繕・保存を続けている。
 長沼焼は鉄分を含む荒い地肌にどっぷりかかった釉薬をベースに、濃青色のコバルトを使った特徴的な作品のほか、徳利なども並ぶ。また明治34年に長沼焼の神酒徳利で亀下己之吉が受けた第一回全国窯業品共進會褒賞の褒状(個人蔵)など貴重な資料も展示している。
 長沼染型紙はチョウやトンボ、ウサギなどのほか、松竹梅や菊、牡丹、桜などの絵柄も多く使用されている。これらはそれぞれ豊穣や延命長寿、立身出世や飛躍といった願いが込められており、細部までこだわったデザインは現在も色褪せない。
 三匹獅子舞のうち里守屋は1589年、伊達政宗による須賀川城攻めの際に、二階堂家の若君が岩瀬村に避難し、同家の復興を願って始まったとされる。
 梅田地区のものは1676年に舞われた記録や、1740年の記銘年号が残る小太鼓などから、江戸時代前期には行われていたと推測される。
 いずれも迫力ある獅子の面構えで、新品さながらの修繕がされており、伝統を守り続けようとする両地区の思いが伝わる。
 入場無料。開館は午前9時から午後5時まで。休館は土・日曜日と祝日。
 問い合わせは同館(℡ 0248-67-2030 )まで。