多くの来場者でにぎわう松明あかし会場
430余年の歴史と伝統を守り続ける須賀川晩秋の火祭り「松明あかし」は11日、翠ケ丘公園五老山をメーン会場に4年ぶりに通常開催され、市内外から多くの来場者で混雑を極めた。
今年は松明をもりたてる会をはじめ、各種団体製作の22本の松明が山頂に並び、須賀川一中ともりたてる会の松明行列、おもてなし広場、小松明行列など各種関連イベントが復活した。
おもてなし広場では須賀川信金の甲冑武者との記念撮影、戦国鍋(トン汁)振る舞い、小松明製作、市空手スポ少演武披露などで盛り上げた。
雪が舞い始めてもおかしくないほどの冷気に包まれ、温かい戦国鍋に来場者も長蛇の列を作り舌鼓を打っていた。
須賀川一中と松明をもりたてる会の松明行列は、上北町集会所近くを出発し、tette前などを経由して五老山山頂を目指し、「わっしょい、わっしょい」の威勢の良い掛け声とともに力強い行進を披露した。
福島レッドホープスの佐藤太紀、若松悠平、鈴木康太郎の3選手が松明提灯を手に行進し、鎧武者姿の信金職員が号令に合わせて槍ぶすまを披露した。
御神火奉受式は岩瀬郡市陸協ランナーに松明点火用の御神火を奉受し、須賀川吟詠同好会の詩吟に乗せて山頂を目指した。レッドホープスの田畑裕希、重田魁士の2選手と打木明治トレーナーがトーチを手に同行した。
小松明行列に続いて、奥州須賀川松明太鼓保存会の松明太鼓演奏が特設ステージで力強く披露され、松明点火への期待を高めていった。
実行委員長の橋本克也市長のあいさつに続いて松明に順次点火し、山頂は何度も入山規制が発せられるほど好評を集めた。
轟々と燃え盛る炎の火勢をさらに勢いづけようと、参加中学校・義務教育学校・高校の応援団らが力強くエールを送り、山頂はエール合戦の様相を見せていた。
計22本の松明に着火されると市消防団らが延焼を防ぐべく芝生広場の応急消火を懸命に行い、松明あかしの盛り上がりを側面からサポートした。
須賀川商工会議所青年部によりおもてなしフードコート、グランシア須賀川の幻の屋台なども開店しにぎわった。
しめやかに八幡山衍儀
山頂を目指す小松明行列
松明あかしの前夜祭にあたる須賀川市八幡町町内会の「八幡山衍儀(えんぎ)」は10日、岩瀬八幡神社(八幡山山頂)で小松明行列と法要を行った。地元子ども育成会や消防団、青壮年会が協力した。
八幡山山頂は須賀川城が落城した430余年前の二階堂家と伊達家との古戦場の一つで、両軍の犠牲者の魂を鎮めるために町内会主催で慰霊祭を実施している。
小松明行列は八幡山入り口で点火し、規則的に鳴り響く太鼓と鐘の音に誘導され、慎重に山頂を目指し、ゆらゆらと揺れる炎の列が山頂まで続いた。
法要は読経に合わせて町内会役員や子どもたちが焼香し、激戦の犠牲者らを思い静かに手を合わせた。