「空の大怪獣ラドン」撮影時を再現したミニチュア ©TOHO CO.,LTD. 井上さんの思い出と技術を紹介したトークショー
円谷英二監督の特撮活動と日本の特撮文化を第一線で支え続けた井上泰幸さん(1922年―2012年)の展覧会「円谷英二を支えた特撮美術の技」は26日までtetteたいまつホールなどで開かれている。入場無料。
井上さんは大正11年福岡県生まれ。昭和28年から新東宝の美術スタッフとなり、翌年には円谷監督が特撮技術を務めた「ゴジラ」に助手として参加。以降は「空の大怪獣ラドン」や「地球防衛軍」「日本誕生」などに携わった。
今回の展覧会メーンの一つである大怪獣ラドンで福岡市内の街並みを忠実に再現したミニチュアは、その完成度の高さに「まるで本物のようだ」と円谷監督が巻いたとされる。
円谷監督の遺作となる「日本海大海戦」までその右腕として活躍し、東宝退社後に自らの美術・造型会社「アルファ企画」を設立。その後も、幅広いテレビ番組などの特撮美術監督として携わり、日本の特撮作品の美術・造型を支え続けた。
初日の11日はオープニングセレモニーとトークイベントを行い、橋本克也市長と井上氏の姪にあたり特撮アーカイブセンターに数万点の資料を提供した東郷登代美さんがあいさつした。
トークイベント「特撮美術監督・井上泰幸の技」は、再現ミニチュアのデザイン設計を担当した三池敏夫特撮美術監督、東郷さん、メイキングディレクターですかがわ特撮塾講師の島崎淳さんが、井上さんが日本特撮に遺した功績や高い技術力、思い出などを紹介した。
たいまつホールには「空の大怪獣ラドン」再現の巨大ミニチュア(9㍍×7・5㍍)、アルファ企画関連資料、井上さんと円谷監督との思い出の写真、1階ルームには東京都現代美術館でも展示された、井上さんが特撮美術に加え、デザインなども幅広く携わった怪獣「ヘドラ」のデッサンや関連資料なども展示されている。
なお市学芸員の同展ギャラリートークは19日と23日の午前11時からたいまつホールで開く。定員は各回10人程度。申し込みは市ホームページ(https://www.city.sukagawa.fukushima.jp/)から。