青紫の炎と香りに感動 須賀川市の晩秋の風物詩「牡丹焚火」


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    火の粉とともに立ち上る牡丹焚火の炎

 天寿を全うした牡丹の古木と枯れ枝を感謝を込めて炎にくべる、須賀川市、桔槹吟社、牡丹園保勝会の「牡丹焚火」は18日、市内外から俳句愛好家を中心に多くの来場者が集まり、暮れなずむ須賀川牡丹園で開かれた。
 牡丹焚火は大正期の園主で俳人の柳沼源太郎が親しい俳人らを迎えて晩秋に催したのが始まり。原石鼎や吉川英治らの作品にも登場し、初冬の季語として歳時記に収載されている。
 今では晩秋の須賀川を代表する風物詩の一つとして、松明あかしの「動」・「静」の対をなす伝統行事として認知が広がってきた。
 今年は須賀川茶道連合会の協力で紅葉が最後の魅力迎える園内で温かいお茶とお菓子を楽しめる呈茶のサービス、また牡丹焚火講演会は講師に静岡県出身で俳句結社「森の座」代表などを務める横澤放川さんを迎え、「歩くということ」をテーマに講話を聴いた。
 午後4時過ぎの薄暮時、中央広場に特設した大型炉を囲むように来場者が集まり、橋本克也市長、江藤文子桔槹吟社代表、柳沼直三保勝会理事長、横澤さんが火入れをして桔槹同人が務める火男2人が牡丹枝を火にくべた。
 牡丹焚火前半は最大1㍍弱まで積み上げられた牡丹枝から2㍍を超える火柱と火の粉が勇壮に立ち上り、徐々に暮れている晩秋の夕闇とのコントラストが感動を呼んだ。
 火勢が落ち着きを見せ始める後半は、炎の色が徐々に赤や紅から牡丹焚火特有の青紫に変化を見せ始め、環境省「かおり風景百選」にも選ばれるきっかけとなった芳しい香りが炉の周りに漂い来場者も炎と香りのコラボレーションを楽しんでいた。
 なお桔槹吟社では牡丹焚火または傍題を季語とした俳句作品を21日まで募集している。投句料は2句1組1人1000円。問い合わせは市文化振興課(℡0248-88-9172)か風流のはじめ館(℡0248-72-1212)まで。