玉川村が阿武隈川の乙字ケ滝周辺に整備し、28日にオープンする複合型水辺施設「乙な駅たまかわ」は25日に関係者を迎えたイベントが開かれ、国立競技場を手掛けた建築家・隈研吾氏が設計した木材をふんだんに使った施設内を公開した。
同施設は阿武隈川のほとりに建つ空き店舗を地域資源として、「かわまちづくり」の拠点施設に活用するため、設計、建設、運営、資金調達を同時に行う「DBFO方式」で整備し、設計当初から運営予定の民間事業者が関り、利用しやすい空間づくりに取り組んだ。事業費は5億7500万円。
村内で生産を始めたクラフトビール「あぶくまビール」の醸造所やカフェ、ステーキレストラン、観光案内所、サイクリングやカヌー利用者の休憩場所、各種イベントを開きながら川の魅力を共有することができる。
国道118号線に面する2階部分には観光案内所やカフェ、1階部分はリバーサイドフロアとしてベーカリーやクラフトビール店のほかステーキなどの料理が楽しめる。
隈氏は平成8年に同所の店舗を設計しており、今回は間伐材を使って光、視界、風をコントロールし、雄大な川を眺めながら憩いの時を過ごせるよう再設計した。
また施設内には隈氏から依頼を受けた久保木畳店(須賀川市)が手掛けたベンチが存在感を放つ。大きさの違う三角形や台形を組み合わせ表面に畳表を使い、和の空間を演出している。
久保木史朗社長は「隈氏との打ち合わせから約3カ月、技術とデザインのバランスをとることが難しかった。そのため模型を作って、研究を重ね、仕上げることができました」と話す。そのほか売店カウンターの側面にも畳表が張られている。
オープニングセレモニーは28日午前11時から行われる。一般の利用は午後2時からになる。
なお29日以降の営業時間は午前10時から午後7時まで。