430年以上の歴史を誇る「松明あかし」開催を1週間後に控え、各団体の準備も大詰めを迎えている。大松明を手掛ける松明をもりたてる会は週末にふれあいセンターで製作に取り組んでおり、中には市内在住の外国人専門学生も積極的に力を貸し、製作現場は多文化交流の場にもなっている。
もりたてる会の製作はカヤ刈りなどの準備を終え、26日から本格的な組み上げを進めている。27日に集まった20代から70代までの約20人は、家族のような温かい空気感で冗談や軽口を楽しみながら、大松明を内側から支える力竹を主竹に結びつけた。
大松明は高さ約10㍍、直径約2㍍あり、製作も多くの人手が必要となる。
佐藤貴紀会長は一人では作ることができない巨大な松明製作に情熱を注ぎ、仲間たちとの作業に充実した表情を見せる。将来を見据えて小学生にこの伝統行事を講話するなど、若い世代への興味喚起にも取り組んでいるという。
そうした中で、3年前から力を貸しているのが市内に住む専門学生のペレラ・ロドリッグ・ジュディカエル・コジョさん(30)だ。
西アフリカのベナン出身で、母国で日本語を学び、3年前に須賀川に移り住んだ。「友だちに誘われ、もりたてる会に混ぜてもらいました。地元にはこんなに大きな火祭りも、地域で一緒になって物を作る祭りもなかったので、参加できてうれしいし、すごい祭りだなと思っています」と流暢な日本語で語る。
竹を切る作業にも加わり、力仕事も率先して引き受け、作業にいなくてはならない存在の一人になっている。
会員たちは分け隔てない様子でペレラさんとも接し、方言や優しい日本語を教えながら製作を進めていた。ペレラさんは「新しい友だちとも出会えて、参加して良かったです」と実感を込める。
ふれあいセンターには会員の幼子も作業を見守っており、幅広い世代、文化が交流する場が生まれていた。
なお、同会は11月2日から4日も作業を進める予定で、見学を自由に受け入れる。
今年の松明あかしは9日、本松明20団体、小松明7団体、篝火(かがりび)6団体、大松明1団体の計34団体のほか、露店出店や奥州須賀川松明太鼓保存会の演奏、御神火隊の走行なども例年通り行う。
松明行列は午後2時から、小松明行列は5時、松明点火は6時半からを予定している。
須賀川信用金庫本店駐車場とtetteたいまつ広場のおもてなしイベント広場は午後1時から、戦国鍋や松明スープ、甘酒の振る舞い、物産販売や甲冑武者との記念撮影、小松明製作体験などを行う。
前日の8日午後6時からは岩瀬八幡神社で慰霊祭「八幡山衍義(えんぎ)」を行う。
募集していた大松明の担ぎ手は、各団体の協力もあり130人以上が集まったため締め切った。