須賀川市在住で介護事業所を運営する滝田智恵さん(58)は日本新聞協会の「第31回新聞配達に関するエッセーコンテスト」で大学生・社会人部門で審査員特別賞に輝いた。
コンテストには大学生・社会人、小・中・高校生の2部門に全国から2900点が寄せられた。
滝田さんは約20年にわたり新聞配達員を務める夫昌弘さん(62)との心温まるエピソードを「天職を見つけた夫」のエッセーにつづった。
滝田さん夫妻は28日、昌弘さんが務める幕田新聞店で取材に応じ、「(体調を崩すなど)夫がきついときは美味しいものを食べさせて、また明日も頑張れよって送り出しています。人生いい時ばかりじゃないので、前向きにやれるように応援してきました。たくさんの方々に応援していただき、感謝の思いを込めました」と喜びを語っている。
審査員特別賞を選んだ元プロ卓球選手の石川佳純さんは「ご主人が自分の天職と思える仕事を見つけられたこと、またそのご主人を支える奥様の気持ちに心を打たれた」と選評している。
受賞エッセーは次の通り。
「天職を見つけた夫」
毎日午前2時を過ぎると、夫は一人静かに身支度をして家を出て行く。
そう、私の夫は新聞配達員である。昔から仕事を転々としてなかなか定職につけず、無理に頼みこんでなんとか働かせていただけることになって約20年が経つ。こんな夫だからどんなに周りに迷惑をかけたのだろうかと思うと、本当に手を合わせずにはいられない。日中、犬の散歩で時々販売所に顔を出すと、みんな笑顔で迎えてくれ、優しいスタッフの方々に囲まれて何と夫は幸せかとつくづく思う。
この間、いつものように配達をしていると、あるお宅から奥さんが出てきて、いつも同じ時間にきちっと配達してくれてありがとう。これ使ってください、と言って紙袋を渡してくれたそうで、その中にはくつ下が3足入っていた。夫はとても喜んでいて、今まで地味だけどこつこつ続けてきて良かった、これからも天職と思って続けていくよ、と言ってくれた。あと何年続けられるかわからないけれど、体の続く限り頑張ると言っている夫にエールを送りたい。
夫よ、雨の日も、風の強い日も、雪の日も頑張れ!!