古木などが炎を立ち上らせる牡丹焚火 自分で点てた抹茶を味わう参加者
須賀川の初冬を静かに彩る風物詩「牡丹焚火」は16日夕、須賀川牡丹園で厳かに行われ、市内外から多くの来場者が天寿を全うした牡丹をくべる炎を穏やかに囲んだ。
牡丹焚火は大正期の園主で俳人の柳沼源太郎が親しい俳人らを迎えて晩秋に催したのが始まりとされる。原石鼎や吉川英治らの多くの俳人、文人らも足を運びそれぞれの作品にも登場し、初冬の季語として歳時記に収載されている。
今年も須賀川茶道連合会の協力で牡丹会館でお茶とお菓子を振る舞う「呈茶」サービスがあり、来場者らは心づくしの一碗とともに、自身で点てた抹茶を味わうなどした。桔槹吟社による牡丹焚火講演会は、俳人の髙田正子さんが「青頓の黒牡丹、杏子の白牡丹」をテーマに講話した。
薄暮時が迫ると中央広場に設けた大型炉に観覧者が集まり、大寺正晃市長と江藤文子桔槹吟社代表があいさつし、牡丹焚火の由来や森川光郎桔槹前代表が松明あかしと牡丹焚火を詠んだ代表句「須賀川に火祭り二つ冬が来る」を紹介した。
大寺市長、江藤代表、柳沼直三牡丹園保勝会理事長、栁沼家を代表して柳沼陸也さん、講演会講師の髙田さんが火入れをし、桔槹同人が務める火男2人が牡丹枝を次々とくべた。
牡丹焚火前半は最大1㍍弱まで積み上げられた牡丹枝から2㍍を超える火柱と火の粉が勇壮に立ち上り、来場者からも感動の声が聞かれた。
火勢が落ち着き始める後半では、炎の色が徐々に赤や紅から牡丹焚火特有の青紫に変化し、環境省「かおり風景百選」にも選ばれるきっかけとなった芳しい香りが炉の周りに漂った。
今年は須賀川三曲会の協力で着火に合わせた尺八演奏もあり、炎と香りの共演にさらなる一興を加えていた。
牡丹焚火と傍題を季語にした俳句を募集する「牡丹焚火俳句大会」は19日まで作品を受け付ける。詳細は市文化振興課(℡ 0248-88-9172 )または市公式ホームページまで。