「県の名工」の酒井祐司さん これからも「作りたいもの作る」 市長に喜びの受賞報告


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    造形への思いなどを語る酒井さん(右)

 今年度の県技能者表彰で「県の名工」に選ばれた須賀川市岩渕の原型師・怪獣造形作家酒井祐司さん(66)は28日、妻京子さんと市役所を訪れ、大寺正晃市長らに受賞の喜びや今後の抱負などを語った。
 県技能者表彰は技能者の地位や技能水準向上を目的に、卓越した技能者を顕彰するもので、「県の名工」は県知事表彰にあたる。酒井さんは19日に福島市で開かれた県職業能力開発促進大会で表彰を受けた。
 酒井さんは広告代理店の会社員として勤務しながら、フィギュアの造形企画製作会社の海洋堂が主催するコンクールに造形物を出品しグランプリを受賞した。そこからキットの受注などを始め、当初は会社員との二足のわらじだったが、35歳で酒井ゆうじ造形工房として独立した。
 造形は幼い頃から絵を描いたりプラモデルを作ったり、東京造形大で学んだ知識を活かしながら、作りたいモデルの真に迫るべく技を磨き続けた。
 歴代ゴジラスーツの再現性と、生物感・躍動感にあふれる造形は多くのファンを魅了し、映画製作の現場でも造形デザインスタッフとして携わる。
 tetteの円谷英二ミュージアム開設時は特別映像「夢の挑戦 ゴジラ須賀川に現る」に登場する初代ゴジラのスーツ造形の監修や、管内の怪獣を中心とした展示物の監修も務めた。同スーツは現在もミュージアムの目玉の一つとして展示している。「ポージングまで任せていただき、自分にとってもありがたい仕事だった」と語る。
 今回の表彰を受け「とても名誉なことで市民として光栄です。推薦に関わった市職員にも感謝しています。これからも『作りたいものを作る』という気持ちで、ファンの支えがある限り作品を生み出していきたいです。最近は自分が作るだけでなく、プロデューサーとして関わる機会も多く、若手と組みながら人材育成にも努めたいです」と笑顔をみせた。
 大寺市長は「怪獣の造形による受賞者が須賀川から出たことは素晴らしい」と受賞をたたえ、今後も連携して須賀川を盛り上げてほしいと伝えた。
 また幼少期に通った映画館など地元の同年代ならではの共通する話題で盛り上がった。
 山寺弘司副市長や関係部課長らも同席した。