鏡石・矢吹・玉川の阿武隈川遊水地群 利活用イメージ案 国交省が示す 令和8年までに具体案まとめ


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    鏡石町の遊水地利活用イメージ図
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    様々な意見を交わす検討会

 鏡石、矢吹、玉川の3町村にまたがり、国が進める阿武隈川遊水地整備計画で国土交通省福島河川国道事務所は19日、第2回検討会を矢吹町複合施設ココットで開き、これまでの住民・企業アンケートの結果をもとにした各町村の遊水地内の利活用イメージなどを示した。
 今回の検討会は住民・企業意向調査やヒアリング調査の結果をもとに、現段階での利活用イメージを図案化し、地内利活用の方向性を探るため開かれ、3町村長や学識経験者、国・県担当者ら約40人が出席した。
 望月貴文福島河川国道事務所長は「これまで関係機関の協力で各種補助事業活用などの情報共有を図りながら、地域の特色を活かした様々なアイデアについて議論を深めてきた。今回は持続可能で維持管理しやすく、実現可能な利活用イメージを示す。国としての最終的な取りまとめについて検討を重ねていく」とあいさつした。
 利活用の方向性から空間、施設のイメージへと徐々に落とし込むプロセスで検討を重ねていく計画であり、今年7月の第3回検討会で予定地を用途別に区分けする「ゾーニング」と導入する機能についてまとめる予定である。
 利活用の方向性は「地域振興への貢献度」「周囲の環境への影響」「利活用の実現性」「維持管理の持続性」を検討項目として、各町村の関係者や有識者らが意見を交わしてきた。
 このうち鏡石町では地域活性化のための収益性や持続性があり、大規模な利活用が図れるソーラーパネル設置(企業)、民間企業を活用した農地整備、交流人口拡大のためにバーベキューやスケートボード、ドッグランなどが出来る複合エリアの整備など、防災力の向上と合わせて地域振興効果を実感できる施設の提案があった(別図は意見を集約し利活用の方向性を協議するための現段階でのイメージ案)。
 利活用案は令和7年度末までにアイデアを集約、希望事業所などを公募し、遊水地整備の完了後に利活用に要する工事を進めていく予定。
 出席者からは、耕土改善事業はほ場整備や用水路整備、機械購入など多額な投資が必要で、そのリスクを伴って新しく始めることは危険であり、国・県がどの程度のバックアップができるかなど具体的な支援体制を早急に示してほしいなどの声があった。
 遊水地整備事業は記録的大水害となった令和元年の台風被害を受け、近年の気象変動による激甚化・頻発化する自然災害に備えて、国・県・流域自治体が令和10年度完了へ阿武隈川緊急治水プロジェクトを進め、鏡石・矢吹・玉川の約350㌶で整備する上流遊水地群は浸水被害軽減を担う重要事業に位置づけられている。令和11年度以降の供用開始を見込んでいる。

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