青龍寺観音堂の奉納幕 長場教育長に答申した文化財保護審議会
天栄村文化財保護審議会は牧之内竜生の青龍寺観音堂で保管する約400頭の馬が描かれた奉納幕(タテ153㌢×ヨコ870㌢)を村指定文化財に指定するため、19日に長場壮夫教育長に答申した。21日に村教委で審議し、村民への告示をもって指定となる見通しである。
奉納幕は173年前の1852年(嘉永5年)に奉納されたもので、毎年旧暦6月15日に竜生集落で行われる「青龍寺正観世音大菩薩の縁日」で観音堂の入口頭上に飾り、参拝者にお披露目している。青龍寺を管理する檀家の代表者らの所有。
所狭しと描かれた馬のうち半数の約200頭には飼い主の名前が地名とともに墨書されている。
「牧之内」の地名の通り、同地は馬の放牧場であり、源氏の武将らが乗馬した名馬が生まれ育ったともいわれている。江戸時代には白河藩が産馬を藩の重要な産業の一つと位置付け、牧之内地区をはじめ、村内各地区の多くの馬が須賀川や白河の競り市で売買された。
青龍寺は馬の安産や良い馬に育っていくようにと人々が願いかける寺として近郷近在からも信仰を集め、その信仰心の証として今回の奉納幕も奉納されたものとみられる。
同様の奉納幕は産馬地として栄えた三春や相馬地方にも見られないものであり、県立博物館など主な博物館、資料館等に問い合わせても類似品はないと回答を得たという。
現在も村内には競走馬の調教施設ノーザンファーム天栄があるが、奉納幕は過去においても村と馬との関わりが深いことを示す貴重な史料となり、文化財として指定することで未来に向けて継承していく。
なお村は新年度以降に県の文化財指定も目指していく考え。