犠牲者を悼み黙祷を捧げる出席者たち めい福を祈り慰霊碑に献花する遺族
東日本大震災の藤沼湖決壊事故犠牲者らを悼む「大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい」は9日、遺族と関係者らが出席して滝防災公園慰霊碑前で開かれた。
全員で黙とうをささげ犠牲者のめい福を祈った。柏村國博実行委員長は「2日後の11日で14年になります。改めて思い出すと時の流れの早さに驚きます。毎年、自然災害で犠牲者が出たとのニュースを見るたびに決壊被災を思い出します。少しでも犠牲者が減るよう、須賀川創英館高の現地活動を受け入れるなどしていますが、これからも引き続き伝承活動を続けてまいりますので、皆様のご支援をお願いします」とあいさつした。
来賓の大寺正晃市長、佐藤暸二市議会議長、玄葉光一郎衆議院副議長、根本匠元復興大臣(根本拓代議士代理)があいさつした。大寺市長は「今後も震災の記憶を風化させることなく、次世代へ継承するとともに、再び深い悲しみが訪れることのないよう尽力してまいります」と述べた。
最後に遺族をはじめ出席者全員で慰霊碑に白菊を献花し静かに手を合わせた。
昭和24年に完成した旧藤沼湖は、平成23年3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災の強烈で長周期な揺れにより本堤が決壊し、当時の貯水約150万㌧が下流の簀の子川に流れ込み、滝・城影・長沼地区を大量の土砂や樹木とともにのみ込んだ。
決壊事故で犠牲者8人(行方不明1人)、住宅被害131戸、広範囲にわたる農地被害など深刻な人的・物的被害をもたらした。
その後、藤沼ダムは県復旧工事により平成29年4月に再建、今年は昨年よりも1カ月早い2月に満水になった。灌がい面積は822㌶、貯水量128万㌧、湖水面積は20㌶ある。
事故の記憶を住民間と地域で共有し受け継ぐため、市民有志が「藤沼湖決壊による慰霊碑建立実行委員会」(旧つなぐつどい実行委員会)を組織し、長沼地域内に慰霊碑建立、被害者の声を集めた記録集発刊、事故発生日に合わせた慰霊祭を開いている。