ザンビアでの調査を報告する神田社長
国際協力機構(JICA)の「中小企業・SDGsビジネス支援事業ニーズ確認調査」でザンビア共和国に昨年8月から複数回にわたり渡航した須賀川市館取町の神田産業(神田雅彦代表取締役)の神田社長らは16日、市役所を訪れ大寺正晃市長に段ボールを使った移動式医療施設の事業化に確かな手応えがあり、ビジネス化に向け実証に進めていく展望を報告した。
同社はアフリカ南部のザンビアでハニカム段ボールを使った移動式医療室「DOKODEMO CABIN(どこでもキャビン)」がどのような社会課題の解決に貢献できるか調査した。
調査は同社の石澤秀忠ハニリアル事業部長のほか、東邦銀行やコンサル担当者など8人を調査団として、昨年8月から今年3月にかけて計4回・7週間現地を訪問し、現地の医療現場や行政機関、国際NGOとの協議や視察などを行った。
ザンビアはアフリカでは比較的平和で治安もよく、英語も通じるが、電気や道路などのインフラは不十分で、農村地域には病院がない。産気付いた妊婦が30~40㌔の道のりを歩いて病院まで行かなければならないなど、過酷な状況もある。
同社のどこでもキャビンは軽量かつ高強度な仮設ユニットであり、工具を使わず短時間で組み立てができる。気密性や遮蔽性に優れ、医療に限らず幅広い活用ができる。
農村部の妊婦が出産前に滞在できるマザーシェルターや、巡回診療、予防接種活動時の仮設診療スペース、洪水や感染症流行時の緊急医療ユニットなどにニーズを確認し、現地の関係者からも「互いに協力していきたい」「ぜひ使用したい」と多数の声を得た。
今後はJICAのビジネス化実証事業に応募し、採択されれば実際の製品を現地に運び、耐久性や使用感など調べる。また、ビジネス化において現地の企業と協力しながら商品を作り、マネジメントなど行う現地法人の立ち上げも検討しており、実証事業においてオペレーションも確認していきたい考え。採択の可否は年内に発表される見通し。
神田社長らの説明を受け大寺市長は「人道支援の面でもとても意義深い取り組みであり、大変素晴らしい。ぜひ子どもたちや多くの市民に取り組みを知ってもらいたい」と絶賛した。