遊水地の米作りを調査 矢吹町の予定地で試験栽培 阿武隈川緊急治水対策プロジェクト


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    試験ほ場で作付けする仁井田さん

 阿武隈川緊急治水対策プロジェクトの鏡石町・玉川村・矢吹町に建設中の遊水地予定地で利活用案の一つである「試験ほ場」の作付けを15日、矢吹町陣ケ岡地内の第2遊水地予定地で、玉川村在住の仁井田健さん(63)が42㌃の田んぼに田植えした。
 令和元年東日本台風の被害を受けて、国・県・流域市町村が令和10年度まで同プロジェクトを展開、阿武隈川や釈迦堂川の河道掘削、堤防かさ上げ、雲水峯大橋と小作田橋架け替えなどを着手している。
 遊水地は堤防で囲み、現地盤よりも2~3㍍掘削するため、農地利用が出来るか、稲の生育に影響がでるか確認するため、仁井田さんの協力を得て作付けした。
 遊水地事業概要などについて難波郁夫東北地方整備局福島河川国道事務所事業対策官が説明し、県と農水省の協力を得ながら1年を通して現地での米作りをサポートし、調査結果を共有していく。
 仁井田さんは、今回の試験ほ場が掘削地を盛土で整備した場所であるため「作業するまでは不安な面もあったが、田植え機で田んぼに入ると普段通りの作業ができた。しっかりとしたコシヒカリを収穫できるよう努力したい」と答えた。
 遊水地利用案は地元自治体と住民を交えて方向性を模索しており、住民・企業アンケートでは農地(一般・企業)、フロートソーラー、多目的広場、公園などの案が出されている。
 遊水地完成は令和10年度を見込んでおり、実際の用地利用は完成後の翌年度以降に決定・着手される。
 遊水地用地協議は令和4年10月から着手し、今年1月末時点で全体350㌶のうち契約済みは4割151㌶。第1遊水地(鏡石町)は130㌶のうち47%にあたる60・9㌶の契約が完了した。
 遊水地は洪水を貯留し浸水被害を軽減するため、鏡石町成田など3カ所に整備し、合計面積約350㌶、貯水量は1500~2000万立方㍍を見込んでいる。