金賞を喜ぶ松崎社長
広島県東広島市の酒類総合研究所の令和6酒造年度全国新酒鑑評会の結果は21日に発表され、天栄村の松崎酒造が12回目の金賞に輝いた。県全体でも16点が金賞に選ばれ、3年ぶりの日本一に返り咲いた。
酒類総合研究所と日本酒造組合中央会の共催で、全国規模で開かれる唯一の新酒鑑評会。全国の酒造家が鑑評会を最高峰の目標として技術の粋を結集し、金賞の受賞を目指し全国から809点が出品された。予審と決審で入賞410点、金賞202銘柄を選んだ。
松崎酒造の「廣戸川」は昨年から連続受賞となる。杜氏の松崎祐行さん(40)を中心に40代から20代の蔵人は天栄村、須賀川市、郡山市と地元で育った若い世代。同酒造は一人ひとりを県の清酒アカデミーに送り出し、技術レベルを高めている。
今年も天栄産の酒造好適米「夢の香」を使用した。近年は高温で硬いコメが多くなる傾向にあるが、水加減や温度調整など蓄積したノウハウのもとで丁寧に手当し、柔らかい香りとコメの甘みを引き出しバランスの良い酒に仕上げた。
松崎淳一社長(67)は「多くの人から期待を寄せていただいており、県内の試飲でもひときわ高い評価を得ていたところだったので、受賞できてホッとしました。おかげさまで知事賞の受賞や東北清酒鑑評会での最優秀賞、サミットでの使用などにより『廣戸川』への注目が高まっていますが、『やっぱり美味しい』と言っていただける酒をこれからも作っていきたいです」と笑顔をみせた。
同酒造ではアメリカや台湾など5カ国にも出荷しており、増産に向けた設備の増強も視野に入れている。
「受賞よりも美味しいと言ってもらえる高品質な酒造りを第一にして、結果として金賞をいただけるよう頑張りたい」と語った。