神田産業の段ボール製医療室 ザンビアで事業化目指す 大使の視察を受け入れ


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    段ボール製医療室など視察するムリンビカ大使ら

 アフリカ南部のザンビア共和国で段ボール製組立型医療室の事業化を目指す須賀川市館取町の神田産業(神田雅彦代表取締役)は9日、同国のトバイアス・ムリンビカ特命全権大使の工場視察を受け入れ、技術の高さや製品の有用性を伝え、事業化に向けた協力関係を強めた。
 同社は国際協力機構(JICA)の「中小企業・SDGsビジネス支援事業ニーズ確認調査」に採択され、昨年8月からザンビア共和国で同社のハニカム段ボールを使った移動式医療室「DOKODEMO CABIN」(どこでもキャビン)がどのような社会課題の解決に貢献できるかを調べ、手応えを得た。
 今後はJICAのビジネス化実証事業に応募し、現地における製品の耐久性や使用感、現地法人立ち上げに向けた検討など計画している。
 ムリンビカ大使は経済担当参事官、経済・貿易担当一等書記官らを伴って同社横山第3工場を訪れ、事業説明を受けた後、製造現場を見て回り、「どこでもキャビン」が目の前であっという間に組み上がる様子などを見学した。
 神田社長は「製品を見て評価や意見をいただけたらありがたい。今回の縁が今後のザンビア共和国と福島県、須賀川市、神田産業との友好を通じ、さらに信頼関係が構築されることを願う」と歓迎した。
 視察には大寺正晃市長、山寺弘司副市長らも同席し、市内で作られたウルトラマングッズなどのお土産をプレゼントした。
 ムリンビカ大使は「工場を視察して、とても衝撃的だった。どこでもキャビンは簡単に作れて効率もよく、ザンビアの課題解決につながる。この素晴らしいイノベーションをぜひザンビアで広めたい」と語った。また同国が8カ国に囲まれていることを踏まえ、周辺国への輸出展開にも期待を寄せた。
 事業の担当である石澤秀忠ハニリアル事業部長は現地のことわざである「今日の小さな木は明日の森をつくる」を引用し、「今回の視察が、やがてザンビアの森になるよう願っている」と述べた。
 なお神田社長やムリンビカ大使らは同日、福島県庁で佐藤宏隆副知事を表敬訪問し、事業について説明した。