釈迦堂川流域水害対策計画 来年度中の策定目指す 国・県・自治体 上流・下流で力合わせ


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    水害対策へ手を取り合う出席者たち

 釈迦堂川流域の特定都市河川・流域指定を受け、国と県、流域自治体(須賀川市、鏡石町、天栄村、白河市、矢吹町、西郷村、泉崎村)は水害対策協議会を発足し、来年度中の釈迦堂川流域対策計画策定を目指す。発足会は31日、円谷幸吉メモリアルアリーナで開かれ、想定される対策案やスケジュールなどを確認した。
 同流域では気候変動の影響で降雨量の増加や流域の開発に伴う雨水流出量の増加等により浸水被害が著しい。そのため協議会は流域の持つ保水・貯留機能の適正な維持・向上、水害リスクを踏まえたまちづくりとの連携、住まい方の工夫など、流域内のあらゆる関係者が協働した、総合的かつ多層的な水害対策の効果的かつ円滑な実施を図る。
 計画は洪水・雨水出水により想定される浸水被害に対し、概ね20~30年の間に実施する取り組みを定める。
 想定される対策として、河道掘削や堤防整備、農業用ため池の治水整備、田んぼダムの推進など氾濫を防ぐ・減らす対策、立地適正化計画など被害対象を減少させるための対策、住民対象の出前講座、マイタイムラインの普及促進など被害の軽減、早期復旧・復興のための対策などがある。
 今年9月頃から各自治体の課長クラスを参集する実務者会議や必要に応じた学識者への意見聴取を実施する中で計画案を固めていく。住民に対しても計画案の説明会を開くほか、パブリックコメントも予定している。
 座長の日大工学部土木学科の朝岡良浩教授は「様々な対策が考えられるが、自治体同士の連携が重要」と強調した。
 橋本克也市長は「本市は釈迦堂川の最下流であり、一方で浜尾遊水地を持つなど、上流・下流の両方の思いを理解できる。我々も田んぼダムに取り組んでいるが、釈迦堂川上流でも一時的に貯留してもらう機能の強化を期待している。多くの連携・協力で進めていけることは大変心強く、防災・減災の強化を切望する」と述べた。
 このほか木賊正男町長は遊水地整備を含む阿武隈川緊急治水対策プロジェクトとの関係性を明確に示すことの重要性を伝え、添田勝幸村長は補助を受けた中での田んぼダム整備やため池の雨水貯留機能整備などに前向きな姿勢をみせた。