アートの力で一石投じる 長沼出身木村さん 尿入りペットボトル投棄問題


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    プロジェクトの思いなど語る木村さん

 須賀川市(旧長沼町)出身の木村晃子さん(東北芸術工科大修士課程1年)が原案・監督を務めたモキュメンタリー映画「黄金のペットボトル」上映会・トークイベントは9日、tetteで開かれ、尿の入ったペットボトルが道路上に不法投棄される問題に対し、アートの力で解決を目指す独創的な取り組みを紹介した。
 学生や市ゆかりの芸術家らを応援するtette活用支援事業の一環。
 木村さんは地元の勢至堂に大量の同ペットボトルが放置されている問題を知り、調べるうちに放置する長距離ドライバーの労働環境問題、モラル欠如、トイレ不足、大型トラックの機能の問題など原因が複数にまたがることに気づいた。
 アートは他分野・他領域の接着剤の役割を果たすという考えから研究テーマとして本格的に取り組み始めた。
 大学の研究者に取材をしながら液体肥料として活用する方法を探り、勢至堂で昨年5月から11月の月1・2回、同ペットボトルを拾い集め、液体肥料を作り野菜を育てた。
 勢至堂などで撮影した映画は、不法投棄された同ペットボトルを「黄金のペットボトル生産者」、清掃業者やボランティアを「収穫農家」、迷惑な不法投棄を「肥料として価値のあるもの」として描き、「生産者」が「収穫農家」の作った野菜を使った料理を美味しそうに食べ、循環するストーリーをドキュメンタリー風に仕上げた。
 木村さんはフィクションに留まらず、尿を肥料化して作物を作る取り組みで、不法投棄の抑止のほか、現在海外に頼る肥料の国内生産にもつながると説明し、「新しい希望・価値を作りたい」と意気込む。
 今後、「黄金のペットボトル」を一緒に拾うワークショップや、長沼の農地で同肥料を使った「黄金のひまわりプロジェクト」を計画しており、多くの人との対話やアイデアでさらに取り組みを広げていきたいと語っていた。