妙林寺銅造千手観音菩薩立像 須賀川市有形文化財に指定


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 江戸時代作の「妙林寺銅造千手観音菩薩立像」(像高5・1㌢、台座6㌢)が須賀川市有形文化財指定を6日に受けた。9月24日の文化財保護審議会答申を受け決定した。
 指定を受けた「千手観音菩薩立像」は単髷(たんけい)から台座までを前後合わせ型の一鋳で造り、のみで仕上げた。通常の千手観音は六面三十二臂で造形が複雑だが、小像のため通常より頭上面、脇手ともに省略がみられる。小像に収めながらも細部にこだわる造形技術は江戸時代ならではの特性を示す。
 千手観音を保持する羽黒山妙林寺は須賀川市加治町に所在する。白河風土記(文化年間・19世紀はじめ)や開基由緒覚書(1869年)によると、妙林寺は天長元年(824年)に市内和田地区に慈覚大師が開山した。文安元年(1444年)頃、二階堂為氏が鎌倉からともに下向した僧明栄(法界寺)を住職にして、須賀川城二の丸に移し開山した。
 天正17年(1589年)の須賀川城合戦で戦火により焼失したが、16世紀末の蒲生領時代に現在地に再建された。
 江戸時代には境内に観音堂が再建された。その際、二階堂家の歴史を後世に語り継ぐため、今回指定された千手観音菩薩が祀られたものと市文化財保護審議会は推察している。