須賀川市上江花地内で白河石を彫り出して制作された不動明王の磨崖仏で10日、開眼式が行われ、世界平和や震災復興、地域活性化などの願いが込められた像に魂が込められた。
江花出身で横浜市在住の遠藤功一さん(84)が国指定伝統的工芸品・真壁石燈籠の制作を手がける伝統工芸士の加藤幸彦さん(茨城県桜川市)に依頼し、今年5月から7月にかけて作業が進められた。
遠藤さんの両親も長沼地域の出身で、亡父敏さんが南満洲鉄道の駅長だったため、昭和17年に満州で生まれ、4歳から中学卒業までを江花で過ごした。その後、集団就職で故郷を離れた。
第2次大戦で捕虜となり、故郷に帰れぬまま35歳で亡くなった父への思いと、サグラダ・ファミリア、イースター島のモアイ像で体験した感動が、磨崖仏の制作による故郷への恩返しという着想をもたらした。
県内で制作してくれる人が見つからずにいたところ、加藤さんの父である先代の征一さんと出会って意気投合し、依頼にこぎつけた。
高さ約3㍍の不動明王は矜羯羅童子、制咜迦童子を両脇に従え、長さ約1㍍の剣を手に地域一帯を見守る。
遠藤さんは「地域の皆さんに、願いは必ず叶うと伝えたい。須賀川には福島空港があり、世界とつなぐことに活路がある。発展を願っている」と述べた。
加藤さんは「一生に一度の大仕事と、命をかけて制作した。完成させられて感無量であり、仕事を任せていただいたことにも感謝している。5月から1週間ずつ茨城と須賀川を行き来して、須賀川には神社が多く、伝統を守る心を感じた。この不動明王も時代を超えて地域を守り、地域から愛される存在になってほしい」と達成感に満ちた表情をみせた。
開眼式は白山寺の松木運悦副住職が行い、関係者ら約10人が祈りをささげた。
磨崖仏は市指定文化財「くぐり石摩崖仏」のすぐ近くに位置し、誰でも参拝できる。











