明日への期待『カイピロスカ』
「いらっしゃいませ。今日は送迎会でしたか?」
「こんばんは。今日は世話になった上司を送り出して来ました。それと、私も単身赴任決まりました。」
「では栄転ですね。とりあえず、いつも通りでハイボールにしますか?」
「はい、銘柄はお任せで。今回のは栄転の為のステップで、こっちに戻るのは何年後になるか分からないんですよ。」
「会社から期待される事は素晴らしい事ですよ。行き先はどちらかお決まりで?」
「それが結構遠くて…北海道なんです。」
「北海道ですか、それは確かに遠いですね。ですが行き先としては良さそうですね、グルメもレジャーもありますし。」
「そうですね、自分はキャンプも釣りも好きなのでかなり楽しめそうです。今までは家族に遠慮して行ってましたからね。うちの子どもも大きくなりましたし、奥さんも喜んでくれてるのでなんの問題もなく赴任先に向かえそうです。」
「では私から一杯、カクテルをご馳走させて下さい。夏場にお出しするカイピリーニャというカクテルお好きですよね。これはそのウォッカ版で名をカイピロスカ。カクテル言葉は『明日への期待』です。どうぞ、飲んでみて下さい。」
「有り難くいただきます!うん、カイピリーニャより更にスッキリですね。これは元気が出そうな味ですね、美味しいです。」
「北海道で良いバーが見つかりますように、ご多幸お祈りしてます。帰省の際には北海道の土産話を楽しみにしてますね。」
「マスターありがとうございます。帰省の際には必ず立ち寄らせていただきます。」
切なさと期待が交差するこの季節。春の夜にしか味わえない特別な一杯がそこに存在します。