「儲かる栽培」へ 須賀川・石川地区きゅうり振興大会 施設栽培や環境制御学ぶ


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    きゅうり振興大会であいさつする小久保所長

 県中農林事務所須賀川農業普及所の須賀川・石川地区きゅうり振興大会は6日、市文化センター小ホールで開かれ、「儲かるきゅうり栽培」をテーマに、長期安定出荷に取り組む施設栽培の事例発表や、企業による環境制御システムの紹介などを通じ、産地の維持・拡大に向け、生産者や関係者の意欲を高めた。
 須賀川市の共催、JA夢みなみの後援。
 きゅうり生産者、JA夢みなみ、各市町村・県職員ら約110人が参加した。
 須賀川地区は全国有数の夏秋きゅうりの産地であり、ピーク時には栽培面積331㌶(昭和47年)、販売金額50億円(平成5年)を達成した。
 しかし露地栽培を中心とした産地であるため、気象災害や天候不順の影響を受けやすく、収量の安定が課題となっている。また生産者の高齢化や病害虫被害により、令和4年の作付面積は100㌶、販売額は22憶円と、ピーク時から大幅に規模が縮小しており、担い手確保が急務とされる。
 小久保和秀県中農林事務所長と遠藤稔JA夢みなみすかがわ営農センター長のあいさつに続き、農業普及所の木幡由美子主査が「今年度の気象経過ときゅうりの生育経過・今後の対策」、JA夢みなみ営農部須賀川園芸センターの大賀学課長補佐が「今年度のきゅうり販売経過と今後の販売戦略」をそれぞれ情報提供した。
 今年度の販売特徴として猛暑・水不足が続いたことで下位等級品率の上昇と早期切り上がりしたことなどを挙げ、JAとして選ばれる産地づくりへトップセールスなど継続するほか、「岩瀬きゅうり」について産品の名称を地域の知的財産として保護する「GI」取得を目指し、ブランド力強化に取り組む。
 また販売価格の底支え・底上げ対策では、きゅうりん館の利用を最大限にすることで長期的な良品安定出荷を図るほか、夏秋きゅうりの減少期(お盆以降)の数量確保対策など説明した。
 施設きゅうり栽培事例発表では、鏡石町の三瓶健太郎さんが「就農してからのあゆみ」、須賀川市の高橋純一さんが「楽しく農業をするために」と題し、導入して効果的だったシステムや失敗談などを語った。
 須賀川農業普及所の大橋金光所長は「夏秋きゅうり防虫ネット被覆栽培開発秘話と産地の今後の展望~儲かるきゅうり栽培を目指して~」と題して栽培管理上のポイントなどを説明した。
 施設栽培用の環境制御システムなど製造販売する誠和(本社・栃木県)は二酸化炭素濃度と成長量の関係や湿度、温度のバランスなどを解説した。
 参加者らは地元が誇るきゅうり産地を守るため、メモを取りながら聴講し長期安定出荷の必要性に理解を深めていた。