須賀川市の西川中央公園4月1日にリニューアルオープン 雨水貯留機能等で防災強化 地域コミュニティの再生へ新たな一歩


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    再整備した西川中央公園
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    幅広い年代の憩いの場となるよう配慮したデザイン
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    公園の計画平面図

 須賀川市館取町で整備を進めてきた西川中央公園は年度内に工事を完了し、4月1日から雨水貯留機能を備えてリニューアルオープンを迎える。公園内にはバスケットゴールなど設置し、普段は住民の憩いの場として利用され、災害時には約2万5000㌧もの雨水を溜めることで、住民が安全な場所に避難する猶予を確保する。市内に大きな被害をもたらした令和元年東日本台風から5年、安全・安心を土台にした地域コミュニティの再生が新たな1ページを迎える。
 令和元年の同災害で丸田町、館取町、茶畑町の一部は直接的な降雨(内水)と釈迦堂川からの越水により、最大深度4㍍以上の浸水が発生し、多くの住宅で1階部分が水没する被害を受けた。また、高齢者2人が逃げ遅れにより亡くなった。
 それ以前にも水害の被害が不定期にあったことを踏まえ、防災機能を考慮した西川中央公園の再整備が進められることになった。
 再整備に当たり、丸田町町内会など地域住民と日常の公園利用方法や公園施設についてワークショップを2回開き、そこで出たアイデアなどを盛り込んだ。
 整備工事は横山建設が主体となって進めた。
 雨水の貯留機能を備える芝生の多目的広場は以前の公園を掘り下げた。約9500平方㍍もの広さがあり、平時はグラウンドゴルフなどを楽しめそうだ。
 アスファルトで整備された広場は約2024平方㍍あり、バスケットゴール1基を設置し、また若い世代に人気のスケートボードなどができるスペースがある。
 公園内をぐるりと巡る法面にはウオーキング用とジョギング用に色分けされた1周450㍍のコースを設けた。また川沿いの高台と多目的広場との高低差は芝生滑り台として子どもたちの遊び場にもなる。
 休憩できる小広場はバスケットゴール付近と高台に計2カ所設置し、ベンチや東屋を置いた。
 この東屋の椅子やテーブルには、再整備に伴い伐採した釈迦堂川の桜並木の木材が使用されており、これからも公園を見守っていく。
 以前より公園のシンボルであった女性像「舞」(1987年3月建立)は住民の要望もあり園内に残した。須賀川市出身の彫刻家の円谷良夫氏による作品で、園内の南西に配置し、多目的広場方向に優しい視線を送る。
 公園内にはパトライト(回転灯)があり、災害時に雨水を貯留する際は点灯して注意喚起する。
 また災害の記憶を語り継ぐため、当時の浸水の高さを示す記録板も設置した。
 さらに災害時や訓練時に住民や消防団員などが作業するための作業ヤードも設けている。
 このほか内水を釈迦堂川に排水するため、毎秒4・9㌧を送り出すことができる高性能ポンプゲートの整備も順調に進んでいる。
 住民を対象とした説明会を3月17日に開き、機能を最大限に生かした地域づくりにつなげる。
 また住民らはこれまでも「安全で安心して暮らせる町づくりの会」など組織し、防災や地域コミュニティ再生へ各種要望活動など展開してきたが、公園の再整備完了を祝うための実行委員会をこのほど設立した。鈴木重実行委員長は「5月頃に『感謝の集い』のような催しを開き、地区全体で盛大に祝い、喜びを分かち合いたい」と期待を寄せる。