大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい 犠牲者への思いを継承 慰霊碑に白キクささげ合掌


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    慰霊碑に献花し静かに手を合わせる参列者たち

 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から今日で13年。地震の強烈で長周期の揺れにより本堤が決壊し、8人(行方不明者1人含む)が犠牲となった藤沼湖決壊事故の記憶を継承し、犠牲者を追悼する「大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい」は10日、滝防災公園慰霊碑前で行われ、関係者や遺族ら約50人が参列し、白キクをささげて犠牲者を悼んだ。
 強烈な西風に小雪が舞い飛ぶ天候の中、参列者は震災と決壊事故、今年元日の能登半島地震の犠牲者に1分間の黙とうをささげた。
 柏村國博藤沼湖決壊による慰霊碑建立実行委員長は「震災以降今日まで台風や地震など災害が続いていますが、改めて犠牲者の皆さんに哀悼の誠をささげ、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。最近も多くの方々がこの慰霊碑を参拝に足を運んでおります。だんだん記憶が薄れていく中で、地域以外の方々に歴史を伝えられ、記録誌によって事実の詳細を伝えていける取り組みができることを感謝申し上げます。今後とも災害から自らの命を守る教訓として藤沼湖の教訓を伝えていきます」と述べた。
 来賓の橋本克也市長、大寺正晃市議会議長、玄葉光一郎代議士が13年を振り返り、これからの長沼地域振興などへの思いを語った。
 慰霊碑前に設置された献花台に出席者一人ひとりが白キクをささげ、犠牲者のめい福を祈って静かに手を合わせた。
 藤沼湖は平成23年3月11日、東日本大震災で本堤が決壊し、農繁期を前にほぼ満水まで溜めていた約150万㌧の貯水が山肌を削り土砂と樹木を巻き込みながら濁流となって下流域の滝、城影、長沼地区に流れ込んだ。
 強烈なはん濫により犠牲者8人、住宅被害131戸、広範囲に及ぶ農地などを人的・物的双方に被害をもたらした。
 藤沼ダム復旧には学識者を中心に組織した第三者委員会が携わり、決壊理由などの究明にあたり、頑強な本堤復帰などの復旧工事を経て、平成29年4月から農業用水供給と自然公園機能が再開した。
 現在の藤沼湖は市と江花川土地改良区が安全管理を担い、ライブカメラ映像を市ホームページなどで配信している。
 藤沼湖底に自生していたヤマアジサイを「奇跡のあじさい」と名付けて復旧・復興のシンボルとし、全国各地に里親の輪を広げ、長野県長沼地区などとの交流は現在も続く。
 また須賀川創英館高1年生は総合学習で慰霊碑建立実行委員会を講師に迎えて震災と決壊事故の教訓を学び、同校防災探求班が現地視察にも訪れている。