ヘルメットを着用しよう 努力義務遵守わずか5% 自転車安全利用強化月間


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    ヘルメットを付けて自転車を押す利用者

 5月は自転車安全利用強化月間。阿武隈時報社が25日、須賀川駅前自転車等駐車場で通勤・通学の利用者が多い午前6時50分から8時までヘルメット着用状況を調査を実施したところ、159人の利用者のうち着用者はわずか8人、全体の5%だった。着用が努力義務化されて1年以上経過した中で、利用者のモラルが問われている。
 道路交通法の改正により昨年4月から自転車のヘルメット着用が努力義務となった。当初はヘルメットの売り切れなどの状況もあったが、現在は改善されている。
 市内でもヘルメットを着用した運転者を見かける機会が増えてきたが、まだまだ浸透していない状況が今回の調査で明らかとなった。
 一方で、須賀川駅前自転車等駐車場という場所における事情も低い利用率の一因として考えられる。利用者の大半を占める高校生や大学生・専門学生、社会人は、日中ないし夜間の長時間にわたり同駐車場に車両を置く。携帯に向かないヘルメットをそのまま自転車とともに置いた場合、盗難やイタズラの不安がつきまとう。
 須賀川署の大和田史佳交通課長は「それでもワイヤー錠を活用するなどして、ヘルメットをつけてもらいたい」と呼びかける。その背景には、今後「努力」義務ではなく必ず義務化される動きが進んでいる事情もある。
 自転車事故による死者の56%は頭部を損傷しており、ヘルメット着用状況別の致死率を比較すると、着用時が0・23%に対し、非着用時は0・68%と約3倍高くなる。
 なによりも大切な命を守るため、ヘルメットの着用が求められている。
 調査ではこのほか、駐車場に向かう利用者が歩道でも慌てた様子でそのまま自転車を運転し続ける姿も多く見受けられた。バスを待つ子どものすぐ目の前を通過する高校生もおり、一歩間違えれば事故が起きかねない場面も観察された。
 今後、自転車運転者に対して青切符を交付し、悪質違反に反則金を科す道路交通法改正案が今年3月に閣議決定されており、通常国会で成立すれば2年以内に実施される。今、運転者の安全運転のあり方が問われている。
 なお須賀川市では同月間に合わせ、市庁舎脇に懸垂幕を設置したほか、今後ホームページや市公式LINEを使った広報活動により、啓発を促す。
 須賀川署は10日午後4時から須賀川駅前で広報啓発活動を行い、安全で正しい自転車利用を呼びかける。

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