3月15日までスポット展「震災を乗り越えた資料たち」 須賀川市歴史民俗資料館 東日本大震災から15年


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    手に取って鑑賞できる復元した土器
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    被災状況を説明する写真パネル

 須賀川市歴史民俗資料館のスポット展「震災を乗り越えた資料たち―考古資料編―」は11日から15日まで開かれ、東日本大震災・藤沼湖決壊で大きな被害を受けた市文化財収蔵庫の資料などを通じ、文化財を守り続ける難しさや、そのために力を尽くす人たちの取り組みなどを伝える。
 震災当時、市内寺西にあった市文化財収蔵庫には数多くの考古資料(土器類)、図面類(発掘調査原図類)、民具などが収められていたが、藤沼湖の決壊による土石流で泥水につかったり、流されて紛失するなどの被害を受けた。
 市では遺物の搬出作業を3月29日から始めたが、人手も少ない中での作業は困難を極めた。
 そうした中で被災翌月からは外部の協力が加わった。福島大や県立博物館などで構成する「ふくしま歴史資料保存ネットワーク」がレスキュー活動に力を貸した。
 また9月には文化庁、東京文化財研究所、奈良文化財研究所、大学等で構成する「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会」の文化財レスキューが行われた。
 泥水で汚れた図面類は奈良文化財研究所が真空凍結乾燥法で処理し、多くの資料で文字や図形が判別できる状況まで回復した。
 土器類は原型を留めずに砕けたものが多数あった。
 当時を知る同館の職員は資料搬出後の苦労を懐かしむ。「破片を洗って、乾かして、整理する作業に震災翌年頃から関わりました。作業が必要な資料はテンバコ2000個分ほどあり、分類があらかたになるまで5年ほどかかりました」。
 問題は、所出などが不明となった土器類が数多くあったことだ。もともと資料には水性インクで遺跡地や出土年月日などが記載され、ニスでコーティングされていた。
 しかし被災によりそれらの識別情報は読み取れない状態になった。
 今回のスポット展で展示する8点の土器もその一部であり、「迷子」のまま保管されている。
 それでもバラバラになった土器は職員らの手によって元の形を概ね取り戻している。この土器は手で触れることが可能だが、ずっしりとした重みには、郷土の歴史に加え、復旧に尽力した人たちの苦労が感じられる。
 なお識別情報は震災の教訓を踏まえ、墨を使って記載するように切り替えたという。これは須賀川市立博物館の開館のきっかけを作った首藤保之助氏の手法を参考にしたもので、首藤氏の寄贈した「首藤コレクション」は被災後も文字が消えなかったからである。
 このほかスポット展は被災当時の収蔵庫や作業風景、長沼地域や須賀川一小、加治町地内など市内各地の被災状況などを示す写真パネルも展示している。
 関連イベントとして「春を待つ 餅つきまつり」は15日午前10時から午後2時まで、藤沼湖自然公園のふるさと体験館で行われる。
 長沼・岩瀬の未来を考える会が協力し、米の炊き上がりに合わせて3回ほど餅をつく。
 いずれも参加は無料。
 問い合わせは同館(℡ 0248-67-2030 )まで。