「長沼」を奏でる 大岡真一郎さんインタビュー


 須賀川市長沼出身の音楽家・大岡真一郎さん(46)は、30、31の両日に藤沼湖自然公園で開かれる「フジヌマ・グリーン・デイズ2026」へ出演する。31日は、いわき市在住のバイオリニスト朔羽さんとのユニット「ラコンターレ」としてステージに立つ予定だ。東京や福岡での音楽活動を経て、今は再び地元に軸足を置きながら表現活動を続ける大岡さんに、音楽と須賀川への思いを聞いた。
「将来的にも地元を離れるつもりはもうない。46歳になって、改めて『いい場所だなぁ』と思えるようになった」
柔らかな口調でそう語る大岡さんは、須賀川について「外から見ると、地元ならではの雰囲気がすごく好き」と話す。
学生時代には、かつてのグリーンモール(サティ)でアルバイトをしながら、屋上で仲間たちと音楽を披露したこともあったという。
「あの頃からずっと音楽を続けて、今があるのは本当にありがたい」
当時と比べて街並みや環境は変わった。それでも「変わらないもの」が須賀川には残っていると感じている。
「そこが須賀川らしさであり、愛着が持てる部分なのかなって思う」
10代の頃は、地元にいながら表現活動を発信していく難しさを感じていた。
「当時は、つながって発信すること自体が難しかった。だから東京や福岡へ出て音楽活動をしていた」
現在はインターネットやSNSを通じ、地方にいても自由に音楽を届けられる時代になった。
「今は地元にいても自由に発信してつながることができる。本当にありがたい時代になったと思う」
一方で、発信手段が増えた現代だからこその難しさも感じている。
「音楽も情報も発信できる間口は広がったけど、一つひとつの価値や優先順位は薄くなっている気がする。聞いてもらうこと自体が難しい時代」
だからこそ大切なのは、「どう伝わるか」を考えることだという。
「好きな音楽を演奏するだけではなく、それがどう聞き手へ届くのかを考えることが大事。そこから表現の幅やインスピレーションが生まれると思う」
現在の社会や地域の空気を感じ取ることも、創作には欠かせない。
「今の世の中がどうなっていて、どんな課題があるのか。それを考えることは音楽をやるうえでとても重要」
長沼の初夏の田園風景をイメージした「息吹」など7曲を収録した最新アルバム「Girare(ジラーレ)」を会場で披露し物販も予定している。
「昔は自分のバックボーンや地元への愛着を音楽にするのはダサいと思っていた。でも今は、その共有感みたいなものがすごく愛おしいですね」
自宅の蔵の2階を自室兼音楽制作室に改装し創作活動に励む。
「秘密のBarみたいな遊び場みたいな雰囲気にDIYしたんですよ。お気に入りの空間です」
狭く分断された情報空間の中で、ふるさとから得た感情や記憶を音楽に乗せることで、人と人がつながれると信じている。
「ルーツから得られるインスピレーションを発信することで、つながれるものがあると思っている」
影響を受けた存在として、坂本龍一さんの名前も挙げた。
「生き方も含めて尊敬している。亡くなった時はショックだった」
尾崎豊やロックのアナーキーな世界への憧れもあったというが、根底にあるのは「自由」への思いだ。
「音楽って『何をやってもいい』という万能感がある。それが始めたきっかけでもある」
そして今は、自分自身の興味や感覚を、等身大で表現することこそが音楽だと感じている。
「自分が興味あるものを、そのまま表現していく。それが今の自分にとっての音楽なんだと思う」
父・清一さんは今回のイベントを主催する実行委員長で、自宅庭にある「横田陣屋御殿桜」の桜守でもある。
「サクラは我が家だけのものではなく、地域の宝。みなさんが楽しめる場所であり続けるように、敬意を持ちながら守っていきたい」
その思いは大岡さん自身の活動にも通じている。
同世代の仲間たちと交流できる場として、自宅の一室を改装した「ナガヌマカフェ」も開いている。週末を中心に、お酒や手作り料理を囲みながら人が集う。
「須賀川や長沼には、まだ知られていない面白い人がたくさんいる。そういう人たちともっと横のつながりを広げていきたい」
現在は須賀川を拠点にしながら、いわき市へも定期的に通い音楽活動を続ける。冬には会津へ足を運び、ウインタースポーツも楽しむという。
肩ひじを張らず、自分らしく表現を続ける。その姿勢は、大岡さん自身が語る「須賀川らしさ」とどこか重なって見えた。

 

「フジヌマ・グリーン・デイズ」30、31日開催 自然体験や音楽満喫

 

 藤沼湖自然公園複合型レイクサイドフェスタ「フジヌマ・グリーン・デイズ」は30日に前夜祭、31日にメーンイベントを開く。

 「自然との共生」をテーマに、ふるさと遊び(木の枝クラフト、わら・竹細工)やパークゴルフ、モルック体験のほか、要予約でテント宿泊やバーベキューなども楽しめる。

 31日は東日本大震災以降15年ぶりとなる湖面利用アクティビティ「カヌー体験」や三世代交流館アクティビティ、FDGsマルシェなども企画している。

 大岡真一郎さん、朔羽さんらが出演する音楽ライブは午前10時から午後1時まで予定している。

 また、前夜祭花火打ち上げ時間は午後7時予定から午後7時半へ変更となった。

 最新情報やタイムスケジュールはイベント公式サイト、インスタグラムで確認できる。

 

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    お気に入りの秘密基地で創作活動する大岡さん

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