樹木の世界へようこそ
今年もうちの庭で綿菓子のような香りが漂っています。それはカツラの木の葉の香り。丸いハート型の可愛らしい葉が紅葉し落葉すると、カラメルのようないい香りが鼻孔をくすぐり思わずうっとりしてしまいます。
樹木が好きな私は、著書の絵本の主人公も樹木なのですが、私の本欄の初回で樹木について最近の研究で分かってきたことを書きました。
樹木は自然の中で生き残るためにお互い助け合っている、仲間を作り近くの樹木の面倒を見ている、ある樹木が傷ついたり枯れ始めると近くの樹木が養分を分け与えるのだそうです。
ほかにも根だけでつながるのではなくキノコなどの菌類とのネットワークもあり、菌類は樹木に着いた汚染物質を取り除いたり、病気の原因になる菌を追い払ったりして樹木を助け樹木はそのお返しに菌類に水と養分を与えているそうです。
また驚くべきことに、樹木には様々な感覚が備わっており、光を感じ、温度を感じ、動物が葉をかじるとその唾液を感じ動物の種類を区別し、時間の感覚もあり冬に向けての準備をしたり、視覚と嗅覚を使って昆虫と話すこともできるとのこと。
特に根はとても敏感でとなりの樹木がどんな種類かを見分けたり、水の音を聞きそちらに根を伸ばすこともできるそうなのです。一説によると切り株も葉がなくても生きていて、近くの樹木が自分の根から養分を与えていたりするそうです。
これらの研究はまだ分かり始めた段階であり科学者たちは樹木が根を脳のように使ってどのように考えているかを調べています。
身近な話題では植物にポジティブな言葉やいい音楽を聞かせると成長が良く、ネガティブな言葉を聞かせると成長が悪くなるという話を聞いたことがありますが、これらの研究で説明がつくことなのかもしれません。
ある樹木は樹液を吸うアブラムシから身を守るために特殊な匂いを出してテントウムシを呼び寄せアブラムシを食べてもらいます。
アカシアの木はキリンの唾液を感じると苦い味の化学物質を作り出して葉を食べられるのを防ぎ、キリンがいることを周りの樹木たちにも知らせるために特殊な匂いを出す。どちらも驚きです。
樹木を見る目が変わり、樹木から教えられることがあると感じます。身近な樹木を目にしながら、目には見えない不思議で優れた樹木の世界を想像してみたいですね。
※参考文献「奇妙で不思議な樹木の世界 英国王立園芸協会監修、創元社」




