火曜コラム(紙面掲載 2025年12月9日)

夏奈色ひとみ


愛しい言葉アソート

 「フルーツグレープ、おいしい」給食の時間に男の子のかわいい口元から出た言葉。そうです、その子が食べていたのはデザートのグレープフルーツで、私は内心(うわ、この言葉もいいね)と思いました。
 職業柄、日々小さな子どもたちと接している私のこれが密かな楽しみなのです。
 幼児期ならではのその子のカタコトの言葉、言い間違えは、言語発達の中でよくある「音位転換(音の並び順の入れ替え)」や「似ている音への置き換え」です。
 私はそんなかわいい単語を耳にした瞬間、たまらなく愛しく楽しい気持ちになります。 
 これこそ日々成長している子どもたちの期間限定の今の言葉、宝物だと思い、可能な限りメモしたくなります。
 ごっこ遊びをしている時「エベレーターで5かいにいこう」、お散歩中に目にした男の子を指さして「おとのここ」、「ぼくおうちでコチョたべた」と話してくれたり、絵本のイチゴを見て「ちにご」、玩具のアヒルを見て「ありる」、マスクを「マクス」や、とうもろこしを「とうこもろし」…なんて微笑ましく楽しいのでしょう。
 私が子どもたちにがんばれと応援していたら一緒になって「ばんがれ、ばんがれ」一緒に粘土で遊んでいた子が「せんせい、なにくつってるの?」ブロックを組み立てる子に「できる?」と聞いたら「できるるよ」この「る」を2回言うところがたまらなく好きです。
 暗くなるのが早いこの時期、窓から夕空を見上げ、子が「ほしまま、きれいだね」瞬間、空を見上げながら私はなんだかとても尊い言葉を聞いたような気がしました。
 将来、子どもたちが成長して反抗期があったら、愛しい言葉を記録しておいてこんな時もあったなと振り返ると癒されそうですね。
 今の時代、手軽にスマホの動画で撮れたら保存しておいて、反抗する本人の前に印籠のように出して見てもらう・・・なんてどうでしょう。
 無邪気なかわいい言葉に時々癒される私も人が元気になる楽しめる癒される言葉をたくさん発していきたいです。

絵本作家

夏奈色ひとみ

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