震災特別連載 3・11東日本大震災 歩みつづけて vol 1


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文化財の保護 ①

 東日本大震災で須賀川地方に点在する大小さまざまな文化財も深刻な被害を受けた。

 須賀川知る古会(影山章子会長)は、震災前からまち歩きイベント「私たちの須賀川みつけ隊」、須賀川一小、須賀川二小の児童との交流を通したまちなか再発見、成果発表会などを通して、地域の歴史文化の継承とまちの活性化を目指してきた。

 旭ケ岡公園内で人知れず被災した朝日稲荷神社神楽殿を再建したのは平成25年10月のことだった。

 知る古会が神楽殿の存在を再認識したのは、震災前年の平成22年の「私たちの須賀川みつけ隊」。神楽殿は大正12年に関東北地方の信者の浄財で建てられ、祭礼には須賀川周辺の神官によってお神楽が奉納されていた。

 震災直前の朝日稲荷神社は長期間無住で、神楽殿や句碑の周りは草むらに覆われた状況だった。

 知る古会は神楽殿屋根の四隅に鎮座するかわいらしいキツネの装飾、中丸桜、須賀川俳壇ゆかりの句碑などのロケーションに注目し、国・県・市・各町内会、所有者でもある神炊館神社など多くの応援を得て再建を果たした。

 会員らは「今思えばすごいパワー。今よりも10年若く馬力もあったよね」と振り返る。

 再建後も定期的に講演会「神楽殿寺子屋」を毎年開き、須賀川の歴史・景観・樹木・偉人などを市民らとともに再顕彰している。

 影山会長は「当時はみんなが被災した中で、知る古会の活動をこのまま終わらせたくないと励まし合える仲間たちがいたことで前に進めた。地震の後は何をすればよいか分からなかったが、とにかく行動を起こせたことが今の知る古会につながっていると思います」と話す。

 今年は5年前の円谷幸吉選手関連座談会を録画した動画をネット配信するなど、コロナ禍でもできる新しい活動に挑戦していく考えだ。

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