震災特別連載 3・11東日本大震災 歩みつづけて vol 4


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まちなかの崩壊と再建①

 東日本大震災は当地方全域に甚大な被害をもたらしたが、須賀川市のいわゆる”まちなか“は特に建物被害が深刻で、今も所どころに空き地や駐車場などが見られる。

 社屋に被害を受けた企業の一つに加治町の建設業・橋本組(橋本和直社長)がある。

 現在地から東にやや離れた旧社屋は強振で1階部分が潰れ2階がだるま落としのようにストンと落下した。

 1階で仕事をしていた社員たちは崩落した2度目の揺れの前に社外に避難し、2階の社員は奇跡的な崩れ方で誰一人ケガをすることはなかった。

 別の仕事で外出していた橋本社長(55)は1階が潰れた社屋を見て「従業員が無事でいてくれたことが救いだった」と振り返る。

 目の前の旧橋本書店(当時満福)ビルも崩落した惨状で「これからどうなっていくのか」と唖然とした。

 社員の安全を確認した後は、当時須賀川一小に通う子どもたちの安否確認に車を走らせた。4号線付近で崩れていなかった校舎を見て、「大丈夫だったんだ」と安堵する一方で、校舎だけでなく校庭まで被災した状況に母校の再建に携わりたいと決意を固めた。

 崩落した社屋の再建は後回しに、インフラ復旧・復興に遮二無二取り組んだ。「頭が3つあっても足りないくらいのてんてこ舞いでしたね」と話す。

 多くの関係者の協力もあり、業務に支障が生じることもなく、社屋の建て替えは平成26年に完了できた。

 ライフラインの復旧を終えると次に待っていたのは被災した建物や蔵の取り壊し。「震災後は7割近くが空き地や駐車場になり寂しさを感じました」とも。

 これからのまちなかについて、「4月から始まる空き家バンク事業の展開が楽しみですね」と期待を寄せている。