震災特別連載 3・11東日本大震災 歩みつづけて vol 8


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風評被害と農業の復興②

 原発事故に伴い目に見えない放射性物質の影響で、国による採取制限や出荷制限が出されたほか、震災から10年が過ぎた今も、生産農家は風評被害に悩まされている。

 県内外の市場や量販店に出荷するものの安値が続き、生活を守るためには価格補償制度への対応や賠償請求するほかなかった。

 県内スーパーの協力で「がんばろう福島」として地産地消運動を展開するも、現実は厳しく生産者にとっては出荷しても売れないという苦しい状況が続いた。安全な農畜産物を消費者へ提供するため、徹底した検査・分析を実施し、安全・安心の農畜産物を少しでも適正価格で取引できるように、農畜産物の販売強化、消費拡大、原発事故による風評被害の払拭を目的に、橋本正和代表理事組合長、管内市町村長が関東や関西圏内の市場に自ら立ち、消費拡大、風評被害払拭を展開するトップセールスを続けた。

 2年前の平成30年には、各支店の女性職員を委嘱した農産物販売促進員「夢ガールキャンペーン隊」を発足させ、消費拡大を目指し販売促進に力を注いでいる。

 京浜市場、関西市場、沖縄市場のほか、テレビ埼玉出演、農林・復興大臣表敬訪問など試食販売会などで、米やJAオリジナル6次化商品(岩瀬きゅうりの漬物)などを持ち込んでPR販売をした。

 トップセールに参加したJA女性部組織連絡協議会の吉成シヅイ会長は「キュウリやインゲンなどを市場の人たちに振る舞い安心をPRし、一人ひとりが持つ風評を払拭することは難しいと感じたが、直接PR活動することで、生産者の思いや気持ちを伝えることができた」と振り返る。

 また生産者も「私たちの代わりに夢ガールキャンペーン隊が、消費拡大PRに力を入れてくれている。常に安全で安心な農作物を」と栽培に力をこめる。

 JA夢みなみが誕生して6年目。「食」と「農」を基軸に、世界にも誇れるブランドの農畜産物の消費・販路拡大にさらなる意欲をみせる。

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