火曜コラム(紙面掲載 2021年4月20日)

三浦 純一


学校の新型コロナウイルス
感染症対策を支援しよう

 最近になって、県内で数多くのクラスターが発生しています。その中でも学校のクラスターが少しずつ増えているのが気になります。
文部科学省が令和2年12月に発行した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル 第5版」を調べてみました。
そこには、昨年3月2日からの学校閉鎖などを経て、学校が本格的に再開し始めた6月1日から11月25日までの間の統計データが掲載されています。
その期間の児童生徒感染者数は3303人、教職員は471人、幼稚園関係者は206人と報告されています。
また、同一の学校で複数の感染者がでた事例は256件あります。小学校71件、中学校71件、高等学校114件で、高等学校に頻度が高い傾向にありました。
そのうち、5人以上の感染者がでた、いわゆるクラスターは、小学校12件で16%、中学校11件で15%、高等学校は36件で32%の発生率でした。
クラスターの発生率も高等学校で高い傾向にあります。
文部科学省のデータから4ヵ月以上が経過し、若者にも感染しやすい変異株が全国にまん延している現在は、さらに児童生徒や教職員が感染する危険性が高いと思われます。
そして、学校での感染拡大が、そのまま家庭内感染を通して新しい大きなクラスターに育ってしまう可能性が高いと思われます。
もちろん、児童生徒がいるご家庭は、かなり心配なさっていると思います。
理由は、学校を媒体にして感染が広がることは、児童生徒が同居しているご家族に感染が広まるということに繋がりやすいからです。
新型コロナウイルスは症状が出る前に感染力が非常に高くなるので要注意であることは、みなさんがご存知の通りです。
したがって、学校内での感染をできるだけ防いでもらうのが、のちに予想される家庭内感染の拡大を予防することに繋がります。
ですから、感染予防の観点から、学校には修学旅行や県外への遠足などを現在の感染状況に合わせて、実施の可否を判断しいただきたいと思います。
そして、私たち市民は苦しんでいる学校を支援していきましょう。
手指消毒用のアルコールを寄付する。さらには消毒用の次亜塩素酸ナトリウム製剤を寄付するなど、様々な支援ができますね。
また、自分のご家庭の児童生徒に、手指消毒用のアルコールを持参させるのもひとつの考え方です。
限られた予算の中で、なんとか感染症対策をしている学校を、私たち市民も支援できると思います。
ご家庭のお子さんに、「どうして学校を支援するの?」と問われたら、迷いなく「あなたと友だちを助けるためだよ。」と言ってあげてください。
きっと、お子さんは将来、その言葉を見習って、学校や子どもさんたちの支援を進んで行うことができる人材に育つと思います。
大切な学校。みんなで支援してみませんか。

うつみね診療所 所長

三浦 純一