火曜コラム(紙面掲載 2024年5月28日)

三浦 純一


熱中症

 早いもので、5月も末になって突然の気温上昇に伴い、熱中症のリスクが高まる時期がやってきました。
 特に産業医の統計によると、5月、6月は仕事中に熱中症で命を落とす従業員が多い月とされています。
 この気温変化に対して、地域の住民の皆様も対策を講じることが求められます。今回は日常生活での具体的な熱中症対策等についてお伝えします。
 まず外出時の注意点です。こまめに水分補給を行いましょう。特に高齢者や幼児は熱中症にかかりやすいため、周囲の人々が気を配ることが重要です。
 水だけでなく、電解質を含むスポーツドリンクを飲むことで、体内の塩分バランスを保つことができます。また、帽子や日傘を使って直射日光を避け、涼しい場所で定期的に休息を取るよう心がけましょう。
 住居環境の整備も大切です。エアコンを効果的に使用し、室温を適切に保つことで熱中症リスクを減らすことができます。エアコンがない家庭では、扇風機や窓を開けて風通しを良くするなどの対策が必要です。
 またカーテンやブラインドで直射日光を遮ることも効果的です。これにより、室内の温度上昇を防ぐことができます。
 熱中症の初期症状を見逃さないことも重要です。めまい、頭痛、吐き気、異常な発汗などの症状が現れた場合は、すぐに涼しい場所に移動し、水分を補給しましょう。症状が改善しない場合や重篤な場合は、速やかに医療機関を受診することが必要です。
 それと、具合が悪い時には近くの人に気兼ねなく伝えることができる家庭環境、職場環境をつくることも大切です。
 地域全体での取り組みも欠かせません。自治体や医療機関は、住民に対して熱中症予防の啓発活動を行い、情報提供や対策の共有を進めることが求められます。地域イベントや集まりの際には、水分補給のアナウンスを行うなど、熱中症予防の意識を高める工夫をしましょう。
 また個々の自己管理も忘れずに行いましょう。日頃から適度な運動を行い、体力をつけることで熱中症に対する耐性を高めることができます。
 バランスの取れた食事と十分な睡眠を心がけることで、健康を維持することも大切です。特に気温変化に体が順応しきれていない時期には、注意が必要です。
 このように熱中症予防は地域全体で取り組むべき重要な課題です。急激な気温上昇のリスクを認識し、適切な対策を講じることで、安全で健康的な生活を送ることができます。地域の皆様も、この機会に熱中症予防の重要性を再確認し、実践してみてください。
 地域全体での取り組みを通じて、熱中症による悲劇を未然に防ぎ、健康で安全に暮らせる環境を築きましょう。
 急な気温上昇に負けず、全員が一丸となって対策を講じることで、健康的な生活を実現する地域にしたいですね。

うつみね診療所 所長

三浦 純一

うつみね診療所長 元公立岩瀬病院長