火曜コラム(紙面掲載 2021年5月25日)

菊地 大介


メジャーリーグの怪物

 先月はゴルフの松山英樹選手を取り上げました。今、世界のスポーツにおいて日本人選手が大活躍していることから今回はメジャーリーグの大谷翔平選手を取り上げたいと思います。
 ピッチャーが本塁打王になる可能性を秘めている大谷選手に歴史的なことが起きようとしています。今回はあのベーブ・ルースと大谷選手を比較してみたいと思います。
 「投手で本塁打王」と聞いてだれしも反射的に思い出すのは、やはり怪物ベーブ・ルースだろうと思います。大谷がルースと比較されることは全米でも注目されてきていますが、「二刀流」ルースは投手大谷と違って、奪三振は多くなかったのです。
 そして本格的に活動したのは、レッドソックス在籍時代の1919年まででした。20年にヤンキースへ移ってからもわずかに登板してはいるものの、ピッチャーが本筋とは言えない状態でした。
 18年は投手として19試合に先発し、13勝7敗の成績。翌19年、ルースの打撃の大谷選手との相違点は、四球が多く、出塁率が高かったことです。
 5割超えも5度経験し野球に革命を起します。投手としては15試合に先発して9勝5敗の成績でしたが、打者としては432打数、29本塁打、打率332の驚異的な数字を残します。
 この後のルースは、長年にわたって本塁打王をほぼ独占し続けました。18年から31年までの14年間で、本塁打王が12回です。大谷翔平には、19年のルースを目安にしてもらいたいと思います。 
 大きな故障にさえ見舞われなければ、本塁打40~50本は十分に実現可能な数字かもしれません。それにしても、メジャーリーグには「規格外れの怪物」や「奇想天外の存在」がよく似合う感じがします。
 タイ・カッブ、サイ・ヤング、ベーブ・ルースといった古典的怪物はもちろんのこと、日本人大リーガーに絞っても、野茂英雄やイチローやダルビッシュ有は、それぞれの形で規格外れを実現させてきました。
 果たして大谷翔平は、どのような形で奇想天外を拡張してくれるのか。「なんてことだ。こいつにできないことはないのか!」と叫んだ現地のアナウンサーの反応は、けっして大げさではないと思います。 
 前回の松山英樹も今回の大谷翔平も今、日本のスポーツが熱くなっていることは間違いありません。

まちづくり会社 株式会社こぷろ須賀川 代表取締役

菊地 大介