火曜コラム(紙面掲載 2022年8月23日)

菊地 大介


翠ヶ丘公園 万葉のひととき

 今回もまた翠ケ丘公園の素晴らしい魅力をお伝えしていきたいと思います。今回からはシリーズ企画です。それは翠ケ丘公園には万葉集の歌碑が60碑設置してあることをみなさんご存知でしょうか?
 まずそもそも万葉集とは何か?少し触れますと、今から約1263年前(西暦759
 年)の奈良時代に編纂された現在最古の歌集です。約400余年間の歌を全20巻に4500首が収められ、その時代に生きた人々の真実の姿や心情が見事に表現されており豊かな人間性にもとづき現実に即した感動を率直に表しています。
 古人が喜びや悲しみを歌った万葉集の中には野の草や花木を詠んだ歌が多く1700首におよび登場する植物は150種にのぼるといわれています。
 翠ケ丘公園は豊かな自然が多くみちており万葉集で詠まれている植物も多く自生しています。
 そのようなことから、この翠ケ丘公園の植物の60種類が詠み込まれた歌が歌碑(石碑)に刻まれ、多くの市民が自然に親しみ郷土を愛する心と誇りを持つようにと設置してあるのです。
 森林浴を浴びながら園内を散策し万葉の世界にタイムスリップしてはいかがでしょうか?
 そこで今回からは公園内にある歌をシリーズ企画で一つ一つ紹介していきたいと思います。早速最初に紹介するのは、巻11の2759、作者不詳「我がやどの 穂蓼古幹摘み生し 実になるまでに 君をし待たむ」この歌の読み方は「わがやどの ほたでふるから つみおほし みになるまでに きみをまたしむ」。
 この訳は「我が家の庭の穂になった蓼の古い茎を摘んで大きく生やし、それが来年実になるまで、私はあの人をずっと待っていま
 す」とこのような心情になるようです。(女歌・恋愛歌)となるようですが、なんとなく胸がキュンとするような切なさや愛おしさが感じられる思いがします。
 ここに出てくる蓼とは、蕾は小さく淡いピンク色で白い花が7月~10月に開花。
 一年草で「蓼食う虫も好き好き」ということわざがあるぐらいで、日本最古の香辛料とも言われているそうです。繁殖力も強いということで、この茎を摘み多く増殖させ、来年まで育つまで意中の人を待ち続けるというなんとも考えさせられる歌です
 さあ、翠ケ丘公園内のどこにこの歌碑があるか?さっそく散策してみてはいかがですか?時期が合えば歌碑の周りに蓼が生えていることでしょう。

まちづくり会社 株式会社こぷろ須賀川 代表取締役

菊地 大介