火曜コラム(紙面掲載 2021年8月10日)

三浦 純一


食事を楽しもう

 食事を楽しんでいますか。
 私たちの体は毎日の食べ物でつくられています。健康に良いものを食べていると健康な体をつくりやすくなります。反対に健康に悪い食事をしていると不健康な体になってしまいます。
 これは、ほぼすべての日本人が知っている、あたりまえの事実です。
 ところが、健康に良い食べ物でも、よく噛まずに一気に食べたり、食事そのものを楽しめていないと消化が悪くなり、十分な栄養を吸収できなくなります。
 単身赴任の人や独居の高齢者の人はひとりで食べるので、家族と一緒に生活している人よりも、食材がかたよりやすくなります。そして、話し相手もいないので、楽しい食事は難しいかもしれません。
 加えて、コロナ禍の現在は私たちの食事風景そのものが変化しています。
 まず、職場での昼食は「黙食」を守って食べています。飲食店でも、食べるとき以外はマスクの着用を求められているので、マスクをかけて会話をしています。楽しい食事とはかけ離れた、私たちの食事です。これでは、食べたものの消化吸収が難しいですね。
 悲しい現状ではありますが、せめて単身赴任の身でも、独居の高齢者の身でも夕食だけは楽しみたいですね。
 ひとりでも楽しめる方法を考えてみましょう。
 まず、すぐにできること。
 ふだん食べている食材に加える調味料を、いろいろ考えてみるのです。
 本気で自分の味覚を鍛えるつもりで、夕食の食材をしっかり味わいます。産地や調理の仕方、調理してからの時間の経過を意識して食べ、その味覚を記憶もしくは記録しておきます。
 同じ食材でも、調理方法や時間の経過で、味が変わるのは、みなさんがご存知の通りです。
 つぎに、味の変化を感じたら、なぜ変化したのかを考えます。そして次回、同じ食材から食事を作るときに、どのように味付けしたらおいしくなるか、どのような時期に食べるとおいしくなるか、仮説を立ててみます。
 例えば、カツオの刺身が大好きなのに、少し古くなると、すごく生臭くなったりします。その際に、古めの刺身でもバジルソースで食べたらおいしくなると仮説を立てます。
 そして実験してみると、臭みが取れてすごくおいしくなったりします。
 主婦のみなさんは毎日やっていることですね。
 ごく身近にある調味料で、とにかく美味しいものができるように努力します。
 これで、立派に自分の仮説を証明することができます。
 味覚を楽しんだら、言葉にして表現しましょう。ずいぶんと古い表現ですが、「まいうー」でしょうか。味わいを言葉で表現するのは意外と難しそうです。
 自分の言葉で「まいうー」を表現できたら食事がもっと楽しくなります。
 コロナ禍でもめげずにおいしい食事を楽しんでください。そして感じた味覚を言葉にして楽しみ、食べたものをしっかり栄養にして免疫力を高めてください。

うつみね診療所 所長

三浦 純一

うつみね診療所長 元公立岩瀬病院長