火曜コラム(紙面掲載 2022年7月19日)


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公立病院名誉院長 三浦 純一

サルコペニアとフレイル

 高齢者の方が筋力の低下によって動けなくなり、さらには水分の補給が不十分になって具合が悪くなり、脱水症や熱中症になって救急搬送される例が増えています。
 気候変動による猛暑や大雨などで、日によって寒暖の差が大きくなり、体力を消耗させていることが原因のひとつです。
 また新型コロナウイルス感染が蔓延しており、普段の行動が制限されて、十分な買い物や運動ができていない方がたくさんいます。
 筋力の低下した高齢者は、なおさら自由に外に出る機会が失われています。
 加齢とともに、筋肉量ならびに筋力が低下し、よろけたりして転びやすくなることは以前よりよく知られた事実であり、「ヨボヨボ」などと形容されてきました。
 一般的に70歳までに20歳代に比較すると骨格筋面積は25~30%,筋力は30~40%減少し、50歳以降毎年1~2%程度筋肉量が減少すると言われています。
 この筋肉量が減少することをサルコペニアと言います。1989年にローゼンバーグ博士が提唱した考え方です。
 一方でフレイルとは「体の予備力が低下し、身体機能障害に陥りやすい状態」といわれ、筋肉量の減少に続いて生じる加齢に伴う症候群(老年症候群)として、体の多数の臓器に生理的機能低下があるものと規定されています。サルコペニアの次にフレイルになるのです。
 フレイルの大まかな診断は次の5項目により行います。これらのうち、3項目当てはまればフレイル、1、2項目ならばフレイル前状態となります。
 みなさんも自分の現在の状態に当てはめてみてください。
 3項目以上当てはまったら、フレイルかもしれません。かかりつけ医にご相談ください。1もしくは2項目はフレイル前状態です。
 それでは次の5項目について自問自答してください。
 1.ダイエットせずに半年間で2―3㌔以上の体重減少がある。
 2.この2週間にわけもなく疲れた感じがある
 3.散歩などの運動を週に1回もしていない。
 4.以前に比べて歩く速度がおそくなってきたと思う。
 5.握力測定で男性が26㌔以下、女性で18㌔以下に低下した。
 結果はいかがだったでしょうか。握力測定以外は割と簡単な設問なので、すぐに答えを導き出せますね。
 意外に40歳台の方でも2項目くらいは当てはまっているかもしれません。特に外にあまり出なくなったコロナ禍以降は若い人でもフレイルになりやすくなっています。
 結果が良くない方がいると思います。しかし、がっかりすることはありません。フレイル状態を回復させることができます。
 十分なタンパク質やアミノ酸を含む食事をとって運動をすると、筋肉量が増加しフレイル状態が改善することが知られています。
 ただ対策が必要なだけです。
 老後を楽しく豊かに過ごしたいのは、誰でも同じです。積極的にかかりつけ医に相談に行ってみてはいかがでしょう。