火曜コラム(紙面掲載 2022年12月13日)

三浦 純一


コロナの後遺症に注意しましょう

 寒い冬になって福島県でコロナが猛威をふるっています。日本の新型コロナウイルス感染者数は12月4日に2500万人を超えました。
 読者のみなさんの中にも、すでに感染してしまった方、そして今現在感染している方がいるかもしれません。
 感染してしまったら注意してほしいことがあります。それは新型コロナウイルス感染症の罹患後症状です。
 聞き慣れない言葉ですが、簡単に言うと、コロナの後遺症のことです。
 意外にもその頻度は高く、研究によっては感染した人の10%に罹患後症状が残ると報告しています。
 代表的な罹患後症状は疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下です。
 覚えきれないほど多彩な症状ですね。この症状は厚生労働省が今年の10月に出した、新型コロナウイルス感染症診療の手引き、別冊「罹患後症状のマネジメント第2・0版」に記載されています。
 厚生労働省がわざわざ小冊子を編纂するほど、国も注目しているのが罹患後症状です。
 私も病院の総合診療科外来において、コロナ後遺症で苦しむ患者さんを診察することがあります。症状は多彩ですが、倦怠感がひどく職場に行けない人もいます。
 罹患後症状はコロナの重症度にはあまり関係なく、入院した人、入院しなかった人でも同様の頻度で発生するようです。
 若い人に多く、30歳、40歳くらいで、特に女性に多いという研究結果もありますので、若い人でもコロナに感染した後で倦怠感が強いなどの状況にある方はかかりつけ医や病院の総合診療科を受診してください。
 私が総合診療科で診察している罹患後症状の患者さんも若い年代です。この年代ですと、子どもさんが小さかったり、ようやく仕事が伸びてきた頃だったりします。
 したがって、家庭や仕事でのロスははかりしれないものがあり、患者さんばかりでなくご家族の負担が大きいのが特徴です。
 そしてもう一つ注意点があります。それは、コロナの後で、倦怠感が強くて動けない時に決して無理をしないことです。「気晴らしに散歩でもしたら。」と言われても動かないのです。もしも、2階に登っていくのが大変だったら行かないのです。
 というのは、少しでも無理をすると大きなダメージになってしまい、回復するのに数カ月の時間がかかるかもしれないからです。まずは、医療機関の受診を考えましょう。

うつみね診療所 所長

三浦 純一