火曜コラム(紙面掲載 2023年6月27日)

三浦 純一


自然との共生を学ぶ「福島県もりの案内人」

 福島県には豊かな自然が広がっています。その自然の中で、森林の役割や大切さを広く県民に伝える活動を行っている団体があります。「福島県もりの案内人」です。
 彼らは自然観察会や森林づくり活動を通じて、県民と一緒に学びながら森林の魅力を伝えています。
 その目的は、県民と共に森の未来のあり方を考え、森と共生する自然環境づくりを推進することです。森林の保全や地域の活性化に取り組む彼らの活動は、地域社会において大きな意義を持っています。
 令和5年度の福島県もりの案内人の養成講座募集枠は20人でした。私も森林ボランティアを目指すために応募したところ養成講座の受講を許可されました。来年まで何回かの研修ののちに試験を受けて合格すれば、来年度は私も「福島県もりの案内人」になっているかもしれません。
 会員の年齢層は30代から80代まで幅広く、自然観察や木工クラフトなどの活動を通じて、森林との共生を考えることを重視しています。彼らの活動は、その地域の自然環境や森林の魅力を多くの人々に伝える役割を果たしています。
 福島第1原発の事故で大量のセシウムが森林に降り注いだ福島県。私は森の案内人になることによって、森の魅力を伝えるばかりでなく、地域の自然保護や環境教育に対する意識を高める一翼を担っていきたいと考えています。
 放射線の低線量被曝の実態を探り、影響を学び、森林の役割や動・植物の生態系のつながりを学ぶことで、私たちは自然環境の大切さを再認識し、持続可能な社会の実現に向けて一歩を踏み出すことができるのです。
 福島県は自然が豊かな地域であり、多くの森林や自然公園が存在しています。四季折々の自然景観は素晴らしく、将来にわたって国内ばかりでなく海外からも大勢の観光客が来ることが期待されています。
 観光客のみなさんとともに、自然観察会や野外活動、森林づくり活動などを通じて、一緒に学びながら森林の役割や自然環境の大切さを広く伝えていきたいですね。
 小学校の高学年になると児童たちは自然環境に目を向けて、多くを学び、理解することができると思います。森の中に入り、目の前の野草の花や木の枝や葉の形で植物の種類を見分ける方法を知り、野生の動物の生態を知ることで、将来の「もりの案内人」が育つかもしれません。
 土地に生えた草木を見、大木を見上げ、また空からはドローンの映像で森を俯瞰(ふかん)して見ることで理解が深まり、夢が広がるかもしれません。
 県内の子どもばかりでなく、青年会議所などを通じた地域交流で来県する子どもさんたちが森や自然環境を学ぶことで福島県の自然を理解することに加えて、将来の進学や職業を決める一つの手助けになれたらと思います。

うつみね診療所 所長

三浦 純一

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