火曜コラム(紙面掲載 2023年7月25日)

夏奈色ひとみ


ひまわりに拍手!

 暑中お見舞い申し上げます。あちこちにひまわりが咲いて夏を演出しています。
 今春、小鳥が好きな尊敬する先輩のお宅にお邪魔した時のこと。綺麗な色のヤマガラが2羽やってきて、庭の木に留まりさえずり始めました。
 それを見た先輩が、庭先で手慣れた様子でひまわりの種を手の平にのせて差し出すと、間もなくヤマガラがサッと手に来て種をくわえて木に戻り、皮をむいて食べ始めたのです。
 鳥が人間の手の上の餌を食べに来ることは、かなり慣れていないとなかなか無いことで感心して見ていました。
 私も小鳥が大好きで、自宅の庭の木に小鳥の餌置き皿を設置していますが、食べに来ているのを見たことがありません。帰り際、先輩がひまわりの種をたくさん分けてくれたので、さっそくそれを餌置き皿と、庭のプランターの土の上にも無造作に置いてみました。
 すると…6月のある日、ふとプランターの上に目をやった私は、思いがけずに3つの種が発芽しているのを見つけました。鳥についばまれることもなく芽を出したひまわりの種…私はその生命力に感動し、そっと土をかぶせて水をやりました。
 やがて、3つの芽は徐々に伸びて50㌢ほどになり、蕾をつけ、7月の始め、2つの茎の蕾が開き、山吹色がかった黄色の可愛らしい花が咲きました。
 それから数日して、3つ目の茎からは、2つの花が咲きました。実は、3つ目の茎は、伸びていく過程で先端が綺麗にほぼ均等に枝分かれして、それぞれに蕾をつけていたのです。私は、このように茎の先が2つに枝分かれし花を咲かせたひまわりを今まで目にした記憶がありませんでした。
 3つの種が自然に発芽し、4つの花を咲かせたひまわりの生命力に拍手!
 また今から2か月ほど前、別の先輩で尊敬しお世話になっていた方が旅立ちました。ひまわりのような笑顔の方で、長年にわたりひまわりに因んだ名前の会を率いてくださっていました。
 何より私たちに、一人の敬愛する方を人生をかけて応援し続けることの尊さを教えてくれました。今月がお誕生日の先輩は、今もきっと野に咲くひまわりを愛でながら、人生をかけて大切にしてきた会と、全国にいる会のメンバー一人ひとりを誇りに思っていらっしゃることでしょう。先輩に心からの感謝と、その尊い人生に拍手!

絵本作家

夏奈色ひとみ

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