火曜コラム(紙面掲載 2024年4月16日)

夏奈色ひとみ


カシの木ルークのエール

 頭上では2羽のツバメが電線にとまり玉を転がすようなにぎやかな声でおしゃべりし、道端では菜の花がゆらゆら風に揺れながら微笑みかけてくれているうららかな春の日、入学式に出席しました。
 通常の入学式が行われるのは5年ぶりとのこと。その言葉を聞いた一時、あらためて当たり前と思っていることも決して当たり前ではなく、晴れの日を迎えることができたことの有り難さと、これからの何気ない日々も噛みしめて過ごしていこうという思いが湧き上がりました。
 学長のお言葉にもありましたが、自分の過去を振り返ってみても、学生時代というのはおそらく人生の中で最も輝かしい時代だと思います。
 出会いと経験と学びと感動、これこそが私たちの宝です。一歩踏み出す勇気を持っていろいろなことにチャレンジして経験を積み、それを自分の財産にしてほしいと思います。
 たとえば物事が思うようにいかなくても、それは貴重な経験を積んでいるのであって、それ自体がとても有意義であり達成するまでやり続ければ失敗などないのです。
 私も辛い場面では、「乗り越えられない試練は起こらない、乗り越えられるからこそ起こるものである」という言葉を支えに乗りきってきました。
 また自由であるということは、自分で自分の責任を取るということです。悪い方へ流されることなく、自分の核となる信念を持って日々を過ごしてほしいと思います。
 そんな日々の中で、ともすると孤独を感じ追い詰められるような心境になることもあるかもしれません。でも必ずあなたを応援しあたたかく見守ってくれている存在はいます。
 どうかそのことを信じ、目線を少し上げて感じ取ってほしいと思います。私の絵本「ぼくのしあわせ」に登場する主人公ルークは、純粋にその人のしあわせを自分のしあわせと感じ喜び応援しています。そのような存在が誰にもいるのです。
 新生活をスタートした皆さん、笑顔たくさんの毎日でありますように・・・応援しています!

絵本作家

夏奈色ひとみ

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