蛍の希望
蛍が見られる季節になりました。
水辺の、日が暮れた暗がりで、ホッ、ホッ…と光を放ち、その光が空中を動く様は、他にはない繊細さと美しさで魅了されます。
山口県下関市立「豊田ホタルの里ミュージアム」川野学芸員の記事によると、日本で主に見られるのは、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルなどで、サクラの花と同じように西の方から順に見られるようになり、活動が一番活発な時間帯は午後8時15分~午後9時半くらいとのこと。
また、地域によってゲンジボタルの発光パターンが違い、東日本では4秒間隔、西日本では2秒、五島列島の蛍は1秒と言われ、見る人の印象も違ってくるようです。
蛍が描かれた絵本もいくつかありますが、その中で「ほたるとばらの花(関英雄・作 ひかりのくに)」は、希望を持つことの大切さと、相手の力を信じて励ますことの尊さを教えてくれる作品です。
私は幼少の頃から、自宅近くの田園で蛍を見てきました。そして今でも変わらず見ることができます。須賀川市の癒しと憩いの場所、翠ケ丘公園のつばきの里でも蛍が見られ、市民の誇りです。
これから先も私たちがこの美しい自然を守っていくことは言うまでもありません。
前述のミュージアム学芸員のお話の続きに、蛍の住む水環境は、もちろん汚れた水ではなく湧き水のようにキレイ過ぎない、やや富栄養な水質である、とありました。
このことからふと、私たち人間についても、全くストレスのない環境は不幸せであるという話を思い出しました。
日本大学医学部精神医学系・内山教授の、ある程度のストレスは一種の必要悪、生きるためのマストアイテムであるという意見です。
より良く生きようという思いとうまくいかない現実とのギャップにストレスを感じ、それを克服した時に人は幸せを感じる、ストレス反応である疲労に気づいて休むことは私たちの心身を守る安全弁である、大事なことはストレスと休養のバランスがとれていることであり、それが心の健康であると言っています。
ストレスの多い日々の中でも、蛍から感じられるような私たちの住む町にちりばめられている素晴らしさや、一見当たり前と思えるようなことの小さな幸せに気づき、ほっと一息する時間を大切に、希望を持って暮らしていきたいですね。